ことしの本屋大賞に最多となる2作がノミネートされた独立系出版社「水鈴社」。現役医師・夏川草介「エピクロスの処方箋」は幸福とは何か?をテーマに内科医・雄町哲郎が奮闘する物語。瀬尾まいこ「ありか」は母親との関係に悩みながら一人娘を育てるシングルマザーの物語。瀬尾はこれまで「そして、バトンは渡された」など血のつながらない親子の物語を描いてきた。今作で2度目の本屋大賞受賞なるか。その自信を伺うと「予想は『イン・ザ・メガチャーチ』、これは…違うな。1位は絶対『ありか』です!」と語った。この小説を出版した水鈴社があるのは本の街、東京・神保町。水鈴社は正社員が2人、アルバイトを入れてオールスタッフが7人。編集は代表・篠原一朗さんだけだという。2020年創業の水鈴社がヒット作を連発できるのか。6年で約20冊。第1作目が瀬尾まいこ「夜明けのすべて」。大手出版社で2作も本屋大賞受賞作を担当してきた篠原さんは本当に作りたい本だけを作って届けていくことはできないかという思いで起業した。出版不況の中、少人数で運営する“ひとり出版社”は5年で150社も増加している。水鈴社が去年出版した小説は3冊。そのうち2作は本屋大賞のノミネート作。残りの1作が二宮和也主演の映画が大ヒットした「8番出口」。強いこだわりを掲げ、一作一作に時間と労力をかけるスタイルは作家からの信頼もあつい。
