「奏(かなで)」の前に出されたスキマスイッチのデビュー曲「view」は全く話題にもならなかったという。2人は生き残りをかけて「奏(かなで)」の制作に取り掛かる。目指したのは泣けるラブソング。”夢を追って旅立つ女性を見送る男性”をテーマに離れ離れになる恋人同士を描くことにした。特に悩んだのが駅の改札での別れ際のシーン。男性と女性の気持ちの描き方だった。内心つらいがそこは見せないのが男らしさだと思って書いていたが、何かグッとこないため、「こういうとき女性はどう思う?」とリサーチしたという。すると女性全員が同じ意見で「泣きながら引き止めてほしいけども泣いた後に気持ちよく送り出してほしい」との声が。というのも簡単に送り出されると「今までの私たちの時間は何だったの?」「そんな簡単に私は離れていっていいんだ」との気持ちがあるそう。それを歌詞に書こうと誕生したのが「突然ふいに鳴り響くベルの音 焦る僕 解ける手 離れてく君 夢中で呼び止めて 抱き締めたんだ 君がどこに行ったって僕の声で守るよ」。「奏(かなで)」はスキマスイッチが20年間活動を続ける原動力になったという。この曲が生まれなかったら?との質問に常田さんは「自分たちの作るものに自信が持てなかった」と話した。大橋さんは「みんなが聴く音楽を作るのはすごく難しくて、自分たちが好きなものばかり作ろうとしていたのがそうじゃないんだって、「奏(かなで)」でそれを見つけたことが僕らの音楽人生にとってすごく大きいポイント」と話した。