ガイアの夜明け ”最後の願い”を叶えたい
愛知県豊田市、デイサービスの「P-BASE」を運営する坂元さん。この日やってきた先には、墓地があった。動画を撮りながら段差の高さを図っていく。そしてやってきたのは、デイサービスの利用者のお宅。依頼者の小野田さん、99歳の母・よしみさんは3年前に足を骨折して以来車椅子生活で、認知症も進み最近では出かけることも難しくなっていた。よしみさんが長い間行っていない夫が眠る場所に連れて行ってあげたいという、坂元さんが下見していた”あの”お墓。事務所に戻るとスタッフと共にオーダーメイドツアーの計画を練る。坂元さんが「P-BASE」を立ち上げたのは13年前、そして旅行のサービス「じぇぷと」を始めたのは8年前。ずっと赤字だったが、去年ようやく採算が取れるようになったという。始めるきっかけとなったのが、山本洋さん。長いリハビリ生活で生きる意欲を失っていたが、歩けるようになったら露天風呂に入りたいと話したため、一緒に行った際に泣いて喜んでくれたという。その出来事が創業のきっかけとなったと話した。
旅行当日、おばあちゃんと旅行に行きたいと娘からひ孫まで4世代に渡る9人での旅。まずは墓参り。しかし、墓地へと続く道がトラックで塞がれているというトラブルが発生。坂元さんが交渉に向かうと、すぐに車をどかしてくれた。急な坂だが、お孫さんたちの力も借り、想定通りタオルを使って引っ張ることで登ることができた。段差も孫の徹さんと協力し、車椅子ごと抱えて乗り越える。見晴らしの良い小野田家のお墓に到着した。3年ぶり、4世代が揃って来たのは初めてで、よしみさんの願いが叶った。墓参りの後は、近くの温泉旅館で食事会。食べたいと言っていた五平餅もある。最近は食に興味を示さなくなったというよしみさんが、かぶりついていた。特別に用意してもらったかいがあった。そして、ひ孫に押されて久しぶりに温泉にも入った。
そんな坂元さんのもとに更に難しい依頼が来た。四方博之さん64歳、2年前の3月に難病のALSと診断された。体が動かなくなる前に万博に行ってみたいという。四方さんと妻のルミ子さんは、トヨタ自動車に勤務し職場結婚だった。地元開催だった20年前の愛知万博ではまだ小さかった息子たちを連れて、何度も足を運んだという。家族と思い出をたくさん作った万博に、もう一度行くことが四方さんの願いだった。そして当日、出かける準備から手伝う坂元さん。四方さん夫婦にとっては半年ぶりの遠出で、電車より車で行くことを選び車内では話しも弾む。4時間かけ大阪・関西万博の会場に到着、この日は夏日になった。まずは四方さんが楽しみにしていた日本館へ、展示の目玉である火星の石に触れ、次はアメリカ館。今回の旅には欠かせないことがある、アメリカ館に入る前坂元さんが四方さんの足をもみほぐす。体が固まらないよう、定期的に繰り返す。そして館内へ、そこには技術者だった四方さんが夢中になる体験が待っていた。