ガイアの夜明け ”最後の願い”を叶えたい
東京・板橋区に2021年にできた病院。その名も「おうちにかえろう。病院」、中も変わっていてピアノのあるロビーでは地元のボランティアによる即席のライブが開かれ、それに聞き入る人たちがいた。こだわりの豆を使ったカフェも併設されていて、近隣の住民もきままにやってこられるようになっている。この病院は、急性期病院での治療を終えた患者の在宅復帰をサポートする病院で、リハビリが中心だという。1か月前に入院してきた野村さん、腰を骨折したが持病のため手術ができず、リハビリに励んできた。この日は一時帰宅の日、野村さんは長年1人暮らしだという。退院後の生活に備え改装の確認を病院のグループ内で訪問診療や介護などサポートしていく。ある調査では、自宅で最期を迎えたいと願っている人が7割いるにも関わらず、実際に叶えられるのは2割にすぎない。この病院は、病床数120床、入院日数は平均25日で、約9割の人が在宅復帰できている。
3月中旬、おうちにかえろう。病院に新たな患者がやってきた。急性期病院から転院してきた、鶴石さん。3年前に肺がんで肺の3分の2を摘出、その後自宅に戻って生活していたが今年1月・誤嚥性肺炎で緊急入院した。付き添っていたのは妻の真由美さん。ほどなくして1人娘のみゆ紀さんも駆けつけた。まず主治医が面談し、今後の方針を決める。「歩く」と「食べる」が目標になった。登幾夫さんは、誤嚥性肺炎を防ぐため痰の吸引が欠かせなくなった。帰宅後も続けなければならないため、妻の真由美さんも覚える必要があった。そこで病院側は、介護することになる家族とも話し合う。いよいよ家に帰るためのリハビリが始まる。登幾夫さんはやる気満々で、担当する理学療法士の志村さんと1階のエントランスへ。長引いた入院生活の間にすっかり季節も変わっていた、久々の屋外でリフレッシュした登幾夫さん、次に向かったのはリハビリステーション。平行棒を使い歩く訓練をするが、久しぶりに立ったとは思えないほどしっかりとした足取りで歩いて行く。まずは1往復から、自分の足で歩けた喜び。その後やってきたのは、同じグループの歯科医。誤嚥を防ぐためにはちゃんと噛めるめることが大事なため、入れ歯を調整し歯科医も立ち会って直した入れ歯で早速食事。これまでのペースト食に加え、この日からおかゆなどの固形物に挑戦する。きちんと飲み込めているか確認も行う。家に帰ったら”肉が食べたい”と目標ができた。病院に来てから2週間。この日は出張専門の理美容師が来て、久々の散髪。帰宅に向け順調に進んでいた登幾夫さんだったが…。