Dearにっぽん Dearにっぽん
広島・廿日市で暮らす橋本康男さん、明美さん夫妻。3年前にアルツハイマー型認知症と診断された夫は物忘れに加え、いま何をすべきか判断できないようになってきている。「自分は役に立っていないと思われるのが辛い」と話し、ハンデを持った人が協力して運営するカフェに通っている。
書斎で明美さんに話を聞いていると、康男さんはかつての仕事について熱く語り始めた。アフリカや中東で研修を頼まれ、社会を変えるためにやっていたと話す姿。作ってきた資料の整理をしてくれる妻の存在に感謝し、思わず目を潤ませた。しかし6月に入ると症状が進行、妻は夫が苛立って体に傷を付ける姿に心を痛めていた。
「一緒にいて穏やかに過ごせば認知症の進行が遅れるのでは」、そんな思いで暮らす明美さんだが現実は厳しい。しかし近くに暮らす長女が、少しでも休めるようにと康男さんをドライブに誘う姿もある。ある日は、悩める家族が一同に会するイベントで、長年診察してきた医師の言葉に耳を傾ける。「あなたはまだ大丈夫」と言ってあげるのが大事と聞き、思わず妻から涙がこぼれた。その後、番組に送られてきた動画には、思い出の歌を練習する夫婦が映っていた。