国際報道 (特集)
イギリス・カーディフ、オアシスのコンサートツアー初日。1991年、マンチェスターでノエルとリアムのギャラガー兄弟を中心に結成した「オアシス」。労働者階級の家庭で育った彼らが歌うのは等身大の庶民の気持ち・生き方。飾らないファッションセンスも注目され、若者は夢中になった。ギャラガー兄弟の歯に衣着せぬ物言いや振る舞いも常に話題の的に。兄弟の仲違いで2009年に解散。別々に活動していたが、去年8月、突如再結成を発表。再結成の波及効果で売れ行きが好調だというレコード店。オアシスの人気は親から子たちへ受け継がれている。全盛期を知らない世代、19歳のリリーさん。父親の影響をうけて熱狂的なファンになった。オアシスの歌は団結の象徴にもなっている。2017年にマンチェスターで20人以上が死亡したテロ事件。その犠牲者を追悼する集会でオアシスの「Don’t Look Back In Anger」(怒りを持って振り返ってはいけない)が合唱された。作詞作曲を手がけた兄・ノエルはBBCのインタビューで「追悼集会をテレビで見ていたが言葉がなかった。それで身にしみてわかったことがある。本当にみんなを1つにしたのはたった1つの曲だった。これはまさに音楽の力、人を1つにする力なんだ」と答えた。専門家は今、オアシスが再び人気を博している背景にはイギリスで政治や社会をめぐる分断が広がっていることがあると指摘する。