時論公論 (時論公論)
ガザ地区でハマスとイスラエルの戦闘が勃発して7日で2年を迎えた。米トランプ大統領が先週示した停戦と和平に向けた20項目の計画についてイスラエル側は受け入れを表明、ハマス側も条件付きで人質全員の解放に同意する考えを明らかにし、双方は詳細を詰める間接協議に入った。停戦・戦闘終結に結びつくかを考える。
イスラエル軍とネタニヤフ政権は先月16日からガザ市で地上作戦を進めている。2年前の戦闘開始以来の犠牲者総数は6万7000人超。食料搬入を制限しているため飢餓と人道危機も悪化している。こうした中、トランプ大統領は停戦と和平に向けた20項目の計画を双方に示した。戦闘終結後の統治についても触れており、ガザ地区ではハマスは今後統治に関与せず非武装化されるなどを掲げている。計画は全体としてイスラエル寄りの内容であいまいな点も多い。
トランプ大統領が計画を発表した先月29日、ネタニヤフ首相は首脳会談で計画を受け入れた。ネタニヤフ首相の連立政権内では極右政党の閣僚らが停戦に強く反対し、ガザ地区の占領や併合を主張している。トランプ大統領はあえてあいまいな計画にして、事実上イスラエルの占領が継続していくことを容認しているのではという見方も出ている。エジプトやカタールなど8か国、ヨーロッパ各国やパレスチナ暫定自治政府はトランプ和平計画を支持・歓迎し、ハマスは外堀を埋められた形に。ハマスは計画のうち「人質全員の解放について基本的に同意する」と表明した。
6日、エジプトでイスラエルとハマスの間接協議が始まった。20項目のうち、人質解放やイスラエル軍撤退の具体的な進め方について話し合っているとみられる。ハマスは人質全員の解放に同意する方針を表明したもののあくまで条件付き。対立する問題やあいまいな点も多く、停戦合意に至り実行されるかは不透明。ハマスは武装解除に応じるか態度を明らかにしておらず、ガザ統治に関わらないという項目にも同意していない。この戦闘はイスラエル建国後の78年間、パレスチナ問題が未解決となってきたことに根源的な原因がある。一刻も早く停戦を実現し、この悲劇をパレスチナ問題解決のきっかけにしなければならない。