2025年7月31日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像と挨拶。

ニュースラインナップ

きょうのラインナップを紹介。

(ニュース)
死者6万人超 「飢きん」迫るガザ地区 “届かない”支援物資

死者が6万人を超えたパレスチナのガザ地区。イギリスはイスラエルが一定の条件を満たさなければパレスチナを国家として承認する方針を表明した。実現すればフランスに続くG7主要7か国では2カ国目となる。WFPなどの国連機関は29日“食料不足の程度が最も深刻な「飢きん」が差し迫っている”と発表。約80台のトラックが搬入したはずの支援物資だがすべての人に行き渡ることはないのだという。僅かに残った物資をめぐり激しい奪い合いが起きている。

英 “パレスチナを国家承認する方針” イスラエルに圧力か

イギリスの首相官邸は29日声明で“イスラエルがガザ地区の深刻な状況を終わらせるための措置を取らず、長期的で持続可能な平和に向けて取り組まなければ9月に行われる国連総会までにパレスチナを国家として承認する”と発表した。G7でパレスチナを国家承認する方針表明はフランスに続き2か国目となる。ガザ地区の人道危機が深まる中イスラエルに圧力をかける狙いがあるとみられる。

辻’s Angle:英首相“パレスチナ国家承認” 理由は ガザ地区への支援は いま

イギリスが外交政策を大きく転換。イスラエルが一定の条件を満たさなければパレスチナを国家承認する考え。一定の条件とは1・停戦による合意、2・国連による人道支援再開、3・2国家解決に向け長期的まつ持続的な平和に力を尽くす、4・ヨルダン川西岸を併合しない。今年9月までにイスラエルが応じることは現時点では考えにくい。イギリスがパレスチナ国家を承認すればこれは根本的な外交政策の変更を意味する。これまでは2国家解決に資する状況で行うという考え。国家承認に踏み切る理由としてスターマー首相はガザ地区の状況を改善するためとしている。国連機関はガザ地区の住民の3分の1以上が何日も食事をとれないでいるとしている。政策転換を後押した他の要素はアメリカの対応で、イスラエル・ネタニヤフ首相は「ガザで飢餓は起きていない」と述べていたがトランプ大統領はきのう「彼らは飢えている」と述べた。もう一つのイギリスの政策変更の理由はイギリス国内から圧力が強まっていたこと。この流れに他の主要国が続くのか、国際社会が一枚岩になれるのかが問われている。

米 トランプ大統領 “来月8日まで” ロシアに停戦迫る

ロシアが停戦に応じなければ厳しい関税などを課すとしているトランプ大統領。その期限を9月上旬から来月上旬に前倒しする考えを28日に示していたが、29日その具体的な日付について言及「今日から10日後だ。ほかにもさまざまな措置をとる」などとコメント。ロシアに対して来月8日までに停戦に応じるよう改めて強く迫った。ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日「トランプ大統領のきのうの発言に留意している。特別軍事作戦は継続している。ここでは評価は避けたい」などとコメント。一方、ウクライナ・ゼレンスキー大統領は29日「ロシアはこの戦争を終わらせようとしている世界中の人々の声を完全に無視している。世界からは支援があるがロシアによる砲撃や市民殺害は依然続いている」と述べた。

トランプ大統領 “最終的に判断”

注目されるアメリカと中国の高官による貿易協議。焦点の一つとなっていた24%分の追加関税の停止期限をめぐり、中国側は”延長で合意”と明らかにした一方、アメリカ側はトランプ大統領が最終的に判断するとの考えを示した。

29日まで2日間行われたアメリカと中国による貿易協議。アメリカ側はベッセント財務長官、グリア通商代表ら、中国側は何立峰副首相などが参加。協議後、李成鋼次官は2%4分の追加関税の停止期限について「延長で合意した」と明らかにした。一方、アメリカ・グリア通商代表はトランプ大統領に最終判断を委ねるとの考えを明らかにした。延長する場合の期間についてベッセント財務長官は「通常なら90日間」と述べた。記者団から”トランプ大統領がロシア産石油の購入を続ける国に2次関税を課す方針を示していることをめぐり最大の購入国・中国にどんなメッセージを送ったか”と問われると「ロシア産石油の購入国はこの関税に備えるべき」と述べ、中国がこの関税の対象となり得るとの考えを示した。トランプ大統領は「あす報告を受け承認するか決めるが前日よりよい話し合いになった」などと述べ、協議の結果に前向きな受け止めを示した。

WOW!The World
ピザ持ち帰りに 再利用可能な容器

持ち帰りのピザに使われる箱。フランス・ヴァンデ県のキャンプ場で使われているのは再利用可能な容器。容器を店に戻すと返金される。500回使用可能でゴミ捨て回数は半減。利用者にも好評だという。ただし、ピザをカットする時に容器を傷つけないよう注意が必要。今夏は県内のキャンプ場17カ所で使用される予定。フランスではおととし約1億2000万個のピザの箱が使われたという。

みずからバッテリー交換するロボット

中国南部・深センのハイテク企業が開発した人形ロボット。バッテリーが減ると自ら交換ステーションに歩いて行きバッテリーを交換する。要する時間は約3分。まずは自動車製造業で活用されそう。

イトマキエイ なぜ海岸に?

暖かい海に生息する絶滅危惧種のイトマキエイ。大きいものは体長3mに及ぶこともあり、水面から跳ね上がるアクロバットも。フランスの海岸近くまでやってきたり群れが姿を見せたりと珍しいショーで地中海のバカンス客を楽しませているが、プランクトンを食べるため普段は沖合にいるはず。専門家は懸念している。生物学者は「海で猛暑がますます早まっているとか仮説はいろいろ考えられる」と指摘。目撃数は増えても数そのものが増えているわけではないという。

スペインの“チーズ”に史上最高額

スペインで行われた恒例のチーズのオークション。重さ2.3kgのチーズに約620万円という驚きの値がついた。オークション落札額で最高額のチーズとしてギネス世界記録に認定された。標高1500mの、山の洞窟で10カ月かけ熟成されたこのチーズ。非常に豊かな香りで知られ、今回落札したのはスペインのレストランオーナーだという。

動物園でユキヒョウ誕生

イギリス・チェスター動物園でユキヒョウの赤ちゃんが誕生。主に中央アジアの山岳地帯に生息し、野生での生息数は4000頭以下と絶滅が心配されているネコ科の動物。94年の歴史を持つこの動物園では初のユキヒョウ誕生。歴史的瞬間で盛大に祝いたいとしている。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
中国 “毒ガス兵器事故” 被害者とNPO

今年は戦後80年。中国では旧日本軍が残した化学兵器が今でも見つかっている。マスタードガス、ルイサイトといった毒ガス兵器は猛烈な炎症を引き起こすことで知られ、マスタードガスはシリアの内戦などでも使われたとされている。日本政府は「化学兵器禁止条約」に基づき2000年から中国で回収と処理を進めていて、2024年度末までに5200億円余をかけ15万4000発を回収。改修前に現地の人が毒ガス兵器に触れ健康被害が出る事故が2000年代に相次ぎ、日本政府は”少なくとも50人以上が被害に遭った”としている。被害者と支援する日本のNPOを取材した。

日本軍が残した毒ガス兵器の被害者の支援を続ける日本のNPOは先月、中国東北部の黒竜江省で検診を実施した。男性は肺気腫と診断された。黒竜江省チチハルでは2003年8月、工事現場で見つかったドラム缶を移動させるなどした1人が死亡、43人が皮膚のただれや呼吸器障害などを訴えた。ドラム缶には旧日本軍が残したマスタードガスなどが入っていた。事故の被害者の男性はドラム缶をトラックで運ぼうとして異変を感じたという。日本政府は毒ガス兵器の処理費用名目で中国側に3億円を支払い中国側が被害者に分配した。後遺症などで仕事が続けられず妻に頼る生活が20年余続いているという男性は「入院する金がない」と話した。

被害者の支援を続けるNPOメンバー・南典男弁護士は2007年、被害者が日本政府に損害賠償を求めた裁判で原告側の弁護を担当。2014年”現場に毒ガス兵器が遺棄されていることを予見できたとは認めがたい”などとして最高裁で敗訴が確定した。敗訴をきっかけに南氏は被害者への医療支援を継続するため民間の基金とNPOを設立。寄付をもとに被害者の定期的な健康診断や薬代の補助を続けてきた。しかし新型コロナウイルスの影響で被害者支援を一時中断。去年10月、南氏らは5年ぶりに中国を訪問し、被害者から支援中断期間の症状の変化を聞き取った。ドラム缶を運ぼうとして事故にあった男性のもとも訪ね日本からの薬や薬代を手渡した。南氏は「被害車にとって(5年間は)非常に大きな空白だったと感じた。ささやかな一歩。絶対二度と戦争をしてはいけない」と語った。

今も後遺症などで苦しむ人々。日本政府は今も中国での旧日本軍が残した毒ガス兵器の回収と処理を続けていて”どこにどれだけ残されているかという記録は少なく偶発的に見つかることもある。中国全土での処理の終了期間は見通しがついておらずこれからも続けていく”とコメント。

皆さんの声 募集中

番組では8月1日に「東南アジアから見た”戦後80年”」について放送予定。QRコードで皆さんの声を募集中。

(ニュース)
支援する側が“選ばれる” 国際NGOの新たな仕組み

主要な先進国による国際開発援助額の推移をみると、2022年までは右肩上がりだったが去年は減少に転じた。背景には各国が支出の重点を安全保障分野に移したことなどがあるとみられ深刻な問題となっている。厳しい状況の中、民間による支援の重要さが増している。長年支援を続けてきた国際NGOでは支援者を広げるための新たな工夫を行い、貧困地域の子どもたちを支えている。

フィリピン東サマール州では住民の多くが農業や漁業に従事。台風などの自然災害が多く、義務教育を修了できる子どもは3割で貧困の連鎖が課題。先月、国際NGOが支援対象となる子どもたちを集めたイベントを開催。子どもたちが顔写真を見て「支援してほしい相手」を選んだ。NGOでは日本の支援者から毎月定額の寄付金を募り、貧しい子どもたちの生活や学業を支える活動を行ってきた。これまでは支援者が支える子どもを選んでいたが、支援する側が選ばれる仕組みを新たに取り入れた。

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