クラシックの祭典 心を支える音楽

2024年4月10日放送 15:11 - 15:21 NHK総合
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東京・上野で「東京・春・音楽祭2024」が開催されている。ホールでのコンサートはもちろん、公園の一角や美術館の中でも。約30会場で1か月約150公演が行われる。20年間このイベントを支えてきたのは鈴木幸一さん。鈴木さんは国内外から音楽家を招きスポンサーを集め。著名な音楽家の招聘も実現させている。鈴木さんは1992年、インターネット事業の会社を創業。その後アメリカのナスダックに株式を公開し、ビジネスの最前線で存在感を示した。その一方実業界では音楽好きとして知られ、音楽祭の立ち上げメンバーに。誘ったのは小澤征爾さんだった。小澤さんたちが熱心に話を進め引けなくなったという鈴木さんは、発起人の代表に。そして2005年に第1回の音楽祭が開かれた。小澤さんが指揮を務めた公演は大好評だったが、席が埋まらない回もあり収支は大赤字に。
同じ頃鈴木さんは経営していた別の会社の倒産など、不況を経験する。しかし音楽祭はやめなかった。音楽には大きな力があると鈴木さんは信じている。その原点にあるのは関東大震災を経験した母から聞いたエピソード。地震で自宅が倒壊し呆然とする中、音楽が聴こえてきたという。その思いを貫いたのは2011年の音楽祭だった。直前に起きた東日本大震災で自粛の声がある中、鈴木さんは”できる限り上演を”と譲らなかった。音楽祭には日本のクラシック音楽の未来を担う人を育てる目的もある。若手が知名度を高めたり、新しいことに挑戦したりすることを後押ししている。美術館の展示室を会場として提供し、普段演奏する機会の少ない現代音楽を披露する場となった。
クラシックに関心のある子どもたちを増やそうという催しも。子どもが見やすいようストーリーを短くアレンジしたオペラは、裏側でプロのオーケストラが演奏する。ヨーロッパで子どもたちのために行われているプログラムを取り入れた。鈴木さんは「次の世代の人が感動できる場として、上野の春は音楽祭に来てくれる。続けることで音楽祭という伝統ができて、上野が本当の文化ゾーンになっていくのではないか」と話した。


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