ニュースウオッチ9 (ニュース)
独自の色を鮮明に打ち出した米国・トランプ新大統領。日本国内からもさまざまな反応が出ている。トランプ新大統領による関税のニュースを見ていたのは、愛知・名古屋市の自動車部品メーカー・判治誠吾会長。自動車エンジン向けの軸受けで世界シェアの約3割を占める会社は、メキシコにも工場を設けている。トランプ新大統領の発言を受け、今後について、判治会長は「買うお客様に関税を持ってもらえるよう折衝していかないといけない」と語った。海外戦略の見直しを迫られているところも。茨城県にあるバネメーカーは、EV(電気自動車)の部品となるバネなどを生産し、中国に輸出。バネメーカー・菅井里輝社長は、トランプ新大統領が中国からの製品に10%の追加関税を課す方針を明らかにしているため、今後米中の貿易摩擦が激しくなることで、売り上げが10%ほど下落する可能性もあるという。菅井社長は「いつ大きな新しい爆弾が落ちてくるかと戦々恐々としている」と語った。会社では、東南アジアなどの販路を開拓し、輸出先を分散しながら売り上げを確保しようとしている。茨城・古河市の映像。
トランプ新大統領が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する大統領令に署名したことについて、浅尾環境相は「残念に感じているが、パリ協定を着実に実施することの重要性は損なわれていない」と述べた。気候変動問題の国際交渉に詳しい東京大学未来ビジョン研究センター・高村ゆかり教授は「米国の不在をどう埋めていくかが、日本を含む国々にとっての課題。国だけでなく、気候変動問題に対処したい社会の構成員が、協力、連携しつくっていくか問われている」と述べた。
北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母親・横田早紀江さんはコメントを出した。早紀江さんは、トランプ大統領が1期目に2度面会し、2019年の2回目の面会ではトランプ大統領から「めぐみさんにきっと会えるよ」とことばをかけられたという。早紀江さんは「私も年を取ってしまい、早くしないと会えないという思いで、非常に焦っている。トランプさんはジョンウン氏との対話ができる方。お互いが平和になれるように願っているので、ぜひトランプ大統領に拉致被害者の救出、帰国を訴えてもらい、なんとか助け出してもらいたい」としている。拉致被害者・市川修一さんの兄・健一さんは「必ずや拉致問題を米朝首脳会談があれば提起してくれるのでは。期待している」と述べた。安倍元総理大臣の映像。
核兵器の廃絶を訴えてきた被爆者団体。広島県被団協理事長・日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)・箕牧智之代表委員は「(米国・トランプ大統領は)核兵器のことはあまりはなさない。それよりも貿易、関税、領土。核兵器の問題がどうなっていくのか心配」、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会・川野浩一議長は「まずトランプ大統領に広島、長崎に来て見てくれと。原爆によっていまも多くの人が苦しんでいることを知ってくれと。そのことを求めたい」と語った。
世界中が注目している超大国、米国の変化は、今後の世界情勢に大きな影響を与えそう。世界が米国・トランプ大統領の一挙手一投足に揺れ動き、影響を受けるのは間違いない。米国ファーストを掲げるトランプ大統領の下、経済では保護主義的、外交も内向きな傾向が強まることを予感させる就任初日だった。世界はトランプ2期目にどう向き合うのか、そして国際秩序をどう守るのか。日本も決してひと事ではない。日米首脳会談を早期に実現し、関係構築を図ることができるのか。各国の国益をかけた、激しい駆け引きが繰り広げられることになる。