トランプ氏発言 現地の受け止めは

2025年1月13日放送 21:09 - 21:16 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

就任式を1週間後に控えた米国・トランプ次期大統領。数週間以内にロシア・プーチン大統領との電話会談が行われる見通しが明らかになった。一方、ロシアや中国を念頭に置いたグリーンランドとパナマ運河を巡る発言の波紋が広がり続けている。現地はどう受け止めているのか取材。トランプ次期政権で安全保障政策を担当する大統領補佐官に起用されるウォルツ下院議員は12日、ABCテレビに出演し、「トランプ次期大統領とプーチン大統領の首脳会談の準備は進められている」としたうえで、「今後数週間以内に電話会談が行われるとの見通し」を示した。ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナに対し、領土を巡ってなんらかの妥協を求める可能性を示唆した。ウォルツ下院議長は「ウクライナの領土からロシアを完全に追い出すことは現実的でない。クリミアも含めてだ。トランプ次期大統領もその現実を理解している」と述べた。
米国・トランプ次期大統領の発言の受け止めについて、グリーンランドの人たちに聞いた。反対の意見が多く聞かれた一方、「経済的にもよりよい安全保障を構築するのにも役立つ。私たちも変わる時が来ている」との声も。デンマーク・フレデリクセン首相は「グリーンランドは売り物ではない。将来のことは住民が決めるべき」と述べた。グリーンランドには複雑な背景も。人口の9割が先住民、イヌイットの人たちで、現在はデンマークからの独立を支持する住民が大半を占めるようになっている。グリーンランド自治議会の議員は「トランプ次期大統領の発言が独立に向けた動きを後押しする可能性がある」と見ている。グリーンランド自治議会・クノフィンカー議員は「デンマーク政府は、グリーンランドの防衛、安全保障、インフラに無関心。私たちは米国と協力する準備ができている」と語った。
米国・トランプ次期大統領を巡る波紋は、中米のパナマでも。市民の怒りを買ったのは、トランプ次期大統領の「パナマ運河は米国にとって極めて重要だが、中国によって運営されている。米国はパナマにパナマ運河を譲ったが中国に譲ったわけではない」との発言。20世紀初めに米国が建設し、現在はパナマ政府が管理運営するパナマ運河。トランプ次期大統領は、中国によって運営されていると一方的に主張して、返還を求めた。さらに軍事力や経済的な圧力を使う可能性も否定しなかった。
パナマで米国・トランプ次期大統領の発言に強い反発が起こる背景には、かつて米国の軍事侵攻を受けた過去がある。1989年、独裁政権を率いていたノリエガ将軍を追放するために米国軍が侵攻。数百人から数千人の市民が犠牲になったとされている。当時を知る住民は「たとえ交渉のためだとしても、トランプ次期大統領の発言は許されない」と訴えている。米国の新政権発足まで1週間。トランプ次期大統領の言動に世界各地で動揺が広がっている。


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