新美の巨人たち 新美の巨人たち
坊っちゃんは愛媛県松山市、中学教師として赴任した主人公の奮闘を綴る自身の体験を織り込んだ短編小説。祖父江さんはその坊っちゃんを文章の合間に当時の硬貨や教員免状、温泉の入浴券などを原寸大で掲載するために新聞のような本を作った。また世界で1番小さい坊っちゃんも作った。その一枚に全ての文章が印刷されている。文字の大きさはわずか4分の1ミリ。そして日本最大の坊っちゃんは小説お舞台である、松山の道後温泉で実現した。ホテルの一室を丸ごと本に見立てた部屋本 坊っちゃんは、祖父江さんの見取り図によると、入口から順番に読み進める仕掛けになっている。タイトルは入口の暖簾に。部屋の中は壁から天井から坊っちゃんの物語がびっしり。トイレの中や障子にも。部屋の真ん中にある座卓の上には坊っちゃんの理解者の「きよ」からの手紙が。
イギリスのロンドン。夏目漱石は1900年から2年間この町に留学していた。本屋さんを巡り歩いて珍しい本を探し回っていた時にみたこともないような美しい本と出会った。漱石はその本の書体やページの構成などにすっかり魅了された。当時イギリスでは、カーテンや壁紙など暮らしにアートを取り入れるアーツ・アンド・クラフツ運動という芸術運動が盛んだった。それには本にも影響を与え、触って眺めて楽しめる書籍が数多く出版されていた。