サンデースポーツ (スポーツニュース)
先週、戦力外になった選手たちが新たな所属先を求めアピールする12球団の合同トライアウトが行われ、45人が参加した。去年は59人が参加し契約できたのは2人しかいなかったが、プロで野球を続ける最後のチャンスと考えて狭き門に挑んだ2人の選手に密着した。日本ハムの2軍施設で練習を続ける柿木蓮はプロ入りしてほとんどの時間をこのグラウンドで過ごしてきた。トライアウトでプロから声がかからなければ野球をやめることも考えている。高校時代は、強豪・大阪桐蔭のエースだった柿木の持ち味は、どの球種でも狙ったコースに投げ込める制球力。甲子園春夏連覇の原動力となった。高校卒業後はドラフト5位で日本ハムへ入団。高い目標を掲げていたが、プロ生活6年で1軍登板は4試合だけ。ストレートのスピードを上げようと取り組んだ結果フォームのバランスを崩し持ち味の制球力を発揮できなくなった。厳しいプロ生活中、ともにプロの舞台に立った高校時代のチームメートの活躍が心の支えだったという。
プロでほとんど発揮できなかった本当の力をトライアウトで見せたいと願う選手がいる。ソフトバンク・佐藤宏樹。彼が最も輝いたのは慶応大学時代。150キロを超えるストレートを武器に相手を圧倒。リーグ戦では1年生の春から登板しイニング数をはるかに超える三振を奪った。左ひじにけがをしていたにも関わらず大学4年のとき育成ドラフト1位でソフトバンクに指名された。しかし、プロ入団前にひじにメスを入れプロ2年目の秋にも左肩を故障。今シーズンも5月、3軍の試合中に右脇腹の肉離れ。戦力外通告を受けたあと佐藤投手は公園などで練習を続けてきた。もう一度全力で投げるそう決意し、トライアウトへの準備を進めてきた。
ZOZOマリンスタジアムで行われたトライアウト当日、ピッチャーが投げられるのはバッター2人だけ。少ない機会でアピールしなくてはいけない。先にマウンドに上がったのは元ソフトバンクの佐藤宏樹。5月に負傷して以来の実戦マウンドだった。1人目は初球のストレートを捉えられた。2人目は日本ハムや巨人で活躍した陽岱鋼。今度は変化球をフェンス際まで運ばれた。それでもすべてのボールを全力で投げきった。一方、高校時代の仲間と共にプロでプレーを続けたいと語っていた日本ハムの柿木は1人目は高校時代を思わせるようなストライク先行のピッチング。最後はボール球を振らせた。2人目もなんとか抑え出番を終えた。