マニュアルにとどまらない対応力を

2024年5月21日放送 21:30 - 21:37 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

ことし1月、羽田空港で起きた航空機どうしの衝突事故。このとき客室乗務員の1人が、みずからの判断で扉を開け、結果的に全員の避難につながった。安全を確保するため、マニュアルにとどまらない、個人の対応力を高めようという企業の取り組みが広がっている。都心の大動脈・山手線。運転士は通常、座って運転するが、徐行の区間に近づくと立ったまま運転を始めた。あえて立つことで、安全への意識づけをするこの工夫。運転士のマニュアルには記載されておらず、先輩から教えられたのをきっかけに取り入れている。運転士は「気づきを増やすために必要」と語った。この鉄道会社では以前、乗務員の判断で乗客の安全を確保した事例があった。2011年に発生した東日本大震災。地震の揺れの影響で宮城県の沿岸で、電車が動けなくなった。当初、乗務員はマニュアルに基づき近くの避難所に乗客を誘導しようとした。しかし乗客からの、津波に備え、高台に止まっている電車にいたほうがいいという助言を受け車内にとどまることを決断。津波から逃れることができた。このことを教訓に、社員の行動指針である安全綱領に「慌てず、みずから考えて」ということばが加えられた。
近年、災害の激甚化など、予測が難しい事態が頻発していること、そして事故件数が下げ止まりとなっていることなどから、これまでとは異なる対策が必要だと考えている。社員がみずから考え、適切な判断ができる力を引き出すには、どうすればよいのか。この会社では、日頃の訓練のしかたを見直している。新幹線の運行中に大きな地震が起きたという想定の訓練。これまで、マニュアルどおりに対応できるかという点を重点的に確認してきたが、最近は個人の判断で適切に行動できた点を評価し合うようにしている。JR東日本・丸山哲夫ユニットリーダーは「今までのやり方だけでは対応しきれないような、道の事故、自称が発生するのでは、そんな危機感を持っている」と語った。
マニュアルにとどまらない適切な行動を引き出そうと、独自のシステムを導入している建設会社もある。現場作業員に利用してもらっているアプリは、事故が起きそうになったいわゆる「ヒヤリハット」の事例を報告するもの。最大の特徴は、ミスやトラブルの内容だけを記載するのではなく、事故を回避するのに役立ったことを入力する点。最近、アプリに投稿されたのは、通路に置かれたホースに、ピンクのリボンをつけていた工夫。ホースにつまずいてけがをする事故の防止につながったため報告した。会社では、こうした現場の工夫を集めることが、対応力の向上につながるとしている。戸田建設統括安全衛生責任者・鈴木雅博さんは「建設は人間がやっていること。すべてをマニュアル化するのは難しい。作業員の創意工夫が上がってこないと安全管理は進んでいかない」と語った。立教大学・芳賀繁名誉教授は「企業が安全への考え方を転換していくことが大切」と指摘。


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戸田建設東日本旅客鉄道山手線東日本大震災

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