イット! (ニュース)
中国・北京市の郊外に無造作に置かれていたのは、ナンバープレートがない中国メーカーの新型EVが100台以上。このEVを販売するディラーによると、店舗に置けない車を保管しているだけで、販売は好調だという。しかし、話を聞くとEV市場には大きな問題が起きていた。それは、販売価格の大幅下落。原因として指摘されているのが「内巻」と呼ばれる、終わりのない過当競争で業界全体が消耗していく現象。中国国内では需要を超えた過剰生産で値下げ競争が激化。自動車業界の収益が年々悪化している。2018年にブランドが立ち上がった中国振興EVメーカー「ナタ」。200万円を切る低価格で2022年は約15万台を販売。しかし、激しい価格競争により性能でも価格でも優位な他社EVが登場し、販売台数が低下。中国メディアによると、去年秋頃から給料は未払で工場がストップ。ことし6月に破産手続きに入った。販売店も営業を停止。経営難に陥ったメーカーは他にも。2年前に取材したEVメーカー「極越」。中国のインターネット大手「百度」が出資し注目を集めたが、販売台数は伸びず資金繰りも悪化。設立からわずか3年で経営破綻。中国メディアによると、10年前、約400社あったEVメーカーは、倒産や合併などで現在は40社程度。利用者の間ではアフターサービスの懸念も出ている。中国では今、利益無視の終わりのない過当競争が「内巻」というキーワードとなり、中国経済にダメージを与えている。過剰生産されたEVは中古車市場にも大きな影響を与えている。しかし、ことし5月には、中国最大のEVメーカー「BYD」が期間限定で最大3割の大幅値下げを実施し、競争はさらに激化。さらに今後5年間で、EVメーカーは5~7社になるという予測もあり、淘汰の波が本格化。
