中村哲さんの思い 受け継いだ用水路

2024年6月15日放送 6:33 - 6:41 NHK総合
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アフガニスタンで人道支援を続けてきた中村哲さんは1980年代から医療支援に当たって来たが干ばつによる食料不足に苦しむ現地の人を目の当たりにする中、井戸や用水路の整備に尽力してきた。中村さんが整備した用水路は今も65万人以上の命と生活を支えている。中村さんは2019年に現地で何者かに殺害されたが捜査は進展を見せず真相は解明されていない。その後も中村哲が代表をつとめたペシャワール会は活動を続けており今年アフガニスタン東部で新たな用水路が完成した。
作ったのはアフガニスタン東部のナンガルハル州で全長は約5キロ、流れる水は生活や農業に利用され約1万4000人の暮らしに役立つと見られている。完成を祝う式典には現地で実権をにぎるタリバン幹部も駆け付けた。タリバン暫定政権マンスール水・エネルギー相代行は「アフガニスタンの人々を忘れず痛みを感じ助けてくれて感謝しする」と話した。用水路の建設工事に携わったエスマトラさんは農業を営んでいたが小麦などを育てていた畑も荒れ果てて耕作できなくなっていた。これまでエスマトラさんがこの地で農業を営むのが難しかった理由は干ばつだけではなかった。エスマトラさんの住む村は数年間、過激派組織ISの影響下にあった。アフガニスタンでは2015年ごろ、ISの地域組織が急速に勢力拡大した。学校はISの訓練施設になった。エスマトラさんの父も自宅の前で銃撃されるなど従わなかった住民ら70人以上が殺害された。エスマトラさんをはじめ多くの住人は村を離れることを余儀なくされ、仕事もなく食べ物にも困る日々を送って来た。こうした中、ペシャワール会による用水路の建設が始まった。このころにはISの勢力も小さくなり治安も安定した。村に戻ったものの生活に困っていたエスマトラや村の人々も作業に参加した。現場で指導に当たったのは長年、中村さんと活動したスタッフだった。スタッフたちは中村さんの意思を継ぎ技術を伝え、用水路を地元の人たちだけで維持できるようにした。ペシャワール会の取り組みで多くの畑に水が届くようになり、村では農業を再開する人たちも相次いでいる。
現地の記者によるとタリバン幹部も中村さんがしてくれたことをアフガニスタン全土に広げてほしいとしている。ペシャワール会では東部で新たな用水路の建設を始めている。支援は寄付や日本からの会費で賄われている。村上優会長は「中小河川のかんがいをどうするかについて大きな一歩だったのでは。地に足をつけたプロジェクトを今後も続けていければ」と話した。アフガニスタンでは2021年にタリバンが再び権力を握り、地震などの災害に見舞われ経済は厳しい状況にある。さらにロシアによるウクライナへの侵攻や中東の問題など世界各地で人道危機が相次ぎ、アフガニスタンへの関心が薄れていると言われている。


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