首都圏ネットワーク (ニュース)
生前、家族に宛てて書いた手紙が亡くなったあとに届くというサービスがある。亡くなった夫からの手紙を受け取った鈴木京子さん。京子さんのもとに届いた1通の封筒、中にはいっていたQRコードを読み取るとそこには「ありがとう」と書いたメモが映っていた。夫の利明さんは去年、82歳で亡くなった。京子さんに対してはことば数が少なく感謝の気持ちを口にすることもなかった。60歳を過ぎたころ脳梗塞を患った利明さん。京子さんは右半身が思うように動かない夫を20年間、支え続けてきた。利き手が使えない夫がせめて自分の名前は書けるよう左手で練習を続ける様子も見ていた。京子さんは懸命に書く夫の姿が目に浮かんだという。利明さんが利用していたのは大手生命保険会社が5年前に始めたサービス。死亡保険に加入している人が利用でき手書きでメッセージを記入する。保険会社は、データ化して保管し現在、およそ20万通が登録されている。手紙は、保険金を支払ったあとに家族などに届ける。このサービス、利用者は高齢者だけではない。実は子育て世代を含む50代以下が3分の2を占めている。夫と息子に宛て、手紙を書くことにした中平苑子さんは息子が生まれたことで事故などで突然、家族を残して亡くなる人のニュースが気になるようになった。去年、祖父を亡くしたこともきっかけとなり今のうちに家族に思いを残すことを決めた。さらに東京・江戸川区の寺でも生前に手紙を残す取り組みというのが行われており800通以上の手紙が預けられている。取り組みを始めたきっかけは住職の井上さん自身の経験にあった。24歳のとき先代の住職である父が亡くなり寺を継ぐ際に父が残したメッセージから勇気を与えられ大きな力になったという。