NHKニュース おはよう日本 特集
夜の公園を歩く夜さんぽという取り組みを紹介。名前も知らない初対面の人と2時間、話しながら歩くというもので、広がりを見せている。オンラインでのコミュニケーションも多様化する現代で、顔を合わせたつながりに何を求めてくるのか、今月行われた夜散歩を取材した。
名古屋市中心部にある久屋大通公園で月に1回、夜さんぽが行われている。4年前から始まり、のべ700人以上が参加してきた。この日集まったのは10代から50代までの20人、初対面の人たちが3人ひと組になり、散歩が始まる。話す内容は自由だが、相手の話を遮らないことや、求められない限り意見やアドバイスをしないことなど、話しやすい雰囲気を作るためのルールが決められている。職業や本名を明かす必要もない。しがらみのない中で安心して会話できることが、夜さんぽの魅力だという。
夜さんぽを立ち上げた人物に話を聞いた。きっかけは7年前、父親を自殺で亡くしたことだった。父を失った悲しみから、苦しむ時期が続いていた。その時、自分の思いを人に話したことで気持ちに整理がついていったという。気持ちを話せる場所を広げたいという思いで考えたのが、様々な境遇の人が夜の公園で一緒に歩いて、思いを分かち合う夜さんぽだった。
夜さんぽに参加することで自分に自信が持てるようになったという人もいる。人とのコミュニケーションに不安を抱いてきたという20代の男性は、自分のことを話す練習がしたいと、大学生だった3年前から参加してきた。男性はこの春から社会人として働き始めている。聞いて、話して、共に歩く。それぞれが一歩踏み出す大切な時間となっている。