時論公論 (時論公論)
解説ポイントは関西電力の事情は、政府の思惑は、建て替えの課題はと伝えた。関西電力は2010年に美浜原発1号機の後継機設置へ地質調査を行うも福島の事故で中断していたが、再開してボーリングで地盤を調査する。福島の事故以降で建て替えの具体化は初である。原発建て替えにあたり関電事情は7基の再稼働で約4,500億円の年の収支改善効果が得られ、原発は欠かせない存在となるが、うち5基が40年超で老朽化が進んでおり建て替えが経営課題となっていた。政府の思惑は2011年の福島第一原発事故で原発依存度を低減、原発新設・建て替えを想定せずとし、2025年のエネルギー基本計画では電力需要最大2割増に対し、原発依存度低減を削除して原発最大限活用とした。原発の設備容量の推移予想では2040年から設備容量減少となっており建て替えについても具体化を進めている。福井・美浜町では町民がエネルギー事情を考えれば賛成、新しい原発はもってのほかで数多ければ事故確率も多くなると意見が割れている。
原発建て替えの課題のひとつは「安全性の確認」。関西電力は建て替えは革新軽水炉を検討しており、既存の原発とは設計が変わるため厳格な原子力規制委が新たな基準など設けるか検討段階にあり安全審査実施体制の構築が求められる。コストを賄えるかも課題であり、原発事故前は原発1基5,000億円であったが、現在はフランスでは2兆円以上、イギリスでは2基で6兆円以上かかっていて、日本でも1兆円超すると見られている。大手電力は民間が投資しやすい仕組みの検討を求め、政府は建設費上振れ分の支援を検討している。核のごみへの対応も課題となっており、政府は地下深くに埋めて最終処分する方針で北海道・佐賀県の3自治体が第一段階調査を受け入れているが、議論が全国に広がらないことを問題視している。佐賀・玄海町の脇山町長は政府が複数自治体に調査受け入れ要請することを検討が必要だとしている。こうした声を受けて政府がどう対応し、核のごみ問題進展へ具体策提示が求められる。