NHKスペシャル ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で
専門家と議論を重ねた結果、済生会江津総合病院はベッド数を一気に30近く減らした。病院の規模を計画的に縮小し19の診療科の削減に取り組む方針で、一部の専門的な治療は隣の市にある3次救急の病院に委ねる。その代わり、様々な症状を総合診療に診て初期対応にあたる総合診療に力を入れることにした。救急医療を立て直し、受け入れを停止していた小児救急を再開したいと考えている。厚生労働省の担当者は、これまでの国の対策の限界を認めたうえで地域ごとに適切な医療体制を整えるよう求めている。地域医療計画課の中田課長は、医師数を増やせば地域偏在の解決につながるという考えのもと地域枠などの医学部の定員を増やしてきたが今後はそれだけでは偏在に追いつかない、医療資源を集約化して体制を立てて行く必要があると話した。医療事故で長女を亡くしたことをきっかけに協議会のメンバーとして患者の目線から国に提言をしてきた勝村さんは、厚生労働省が自分たちの利害調整をしたり医師たちの自由や収益向上が目標になってしまうと、患者のグランドデザインの責任をとるのは後回しになってしまう、誰かがすべて担わされるのではなくみんなで担っていくことがグランドデザインを考える根本だと指摘した。4月、済生会江津総合病院では新たに3人の総合診療医が加わった。