NHKスペシャル エジプト悠久の王国 追跡!謎の王ブラックファラオ
スーダン北部、かつてこの場所にクシュ王国の都ナパタがあった。都を見下ろす岩山ジュベル・バルカルはクシュの人々が信仰する聖地だった。エジプトはクシュを力ではなく別の手段で取り込んでいく。岩山の先端にある細長い岩はコブラの形に似ている。コブラは古代エジプトでファラオを守る守護神であり、聖なる存在だった。そこでエジプトは神話を作る。クシュの聖地にはコブラの神聖な力が宿る、その背後には最高神アメンが宿っていると。アメンは古代エジプトの中期以降、神々の頂点に立つ存在。その最も偉大な神がクシュの聖地に住んでいるとした。エジプト人はこの神話をエジプトやクシュの各地に描き、広めていった。やがてクシュの人々に変化が現れる。その様子を示す遺構が岩山の下で見つかった。クシュの人々が祈りを捧げた神殿、エジプトの神・アメンを祀るためのアメン神殿。彼らは自らの都をアメンの一大聖地と考えるようになった。クシュの人々は一度アメン神を受け入れるとますますエジプトと融合していく。エジプト・アスワンにあるクシュの神を祀るカラブシャ神殿。クシュの最高神マンドリスが描かれている。冥界の神・オシリスの息子として生まれたホルス、生まれてまもなく父が別の神によって殺されてしまう。幼いホルスはその身を案じた母・イシスによってパピルスの茂みに隠された。成長したホルスは父の敵を討つとエジプトの天空の神となった。この神話は古代エジプト人に愛され、各地の神殿に幼いホルスが描かれていった。クシュの神と古代エジプトの神が全く同じ存在になっていった。神殿の奥にはクシュの神がエジプトの神々と一体化した様子が描かれていた。