新美の巨人たち 新美の巨人たち
伊達競阿国戯場 累は先代伊達家の跡取りを巡るお家騒動のクライマックス場面。実の姉の怨霊に取り憑かれ、醜い姿に変わり果てた累が夫の首根っこを掴んでいる。凄まじい形相で噛みついている相手は主君の娘。夫との仲を疑い嫉妬し無惨にも夫に殺されてしまうが激しい嫉妬と怨念を描いた。その絵の特徴は異時同図法という、異なる時間に起きた出来事を同じ画面に描く手法が使用され、その後ろには累の兄が死んだ累と姉と弔う旅に出る様子が描かれる。こうして芝居絵に新たな作風を持ち込んだ。さらに尾上右近が目を留めたのは、伽羅先代萩 御殿。伊達家の乳母が毒入りの菓子を食べようとする若君を助けようとする場面。身代わりに入った乳母の子が衝立から飛び出し身代わりに食べて死んでしまう。もはや着物がドクロになった栄御前と悪児を巡らす2人の女が特徴。毒入りの菓子を食べるのか食べないのか、物語の一番大切な瞬間に視線を誘導している。
