いま、伝えたいありがとう (いま、伝えたいありがとう ~パラアスリートたちの絆物語~)
9月、渋谷の真ん中で多くの人が車いすラグビー日本代表の快挙を祝った。日本代表最年少の橋本勝也さんは先輩たちに愛されるチームのムードメーカー。そんな橋本さんにとって特別な存在が日本代表のエース・池崎大輔さん。橋本さんは先天性の四肢欠損で手の指は2本ずつ。学生時代は思春期だったこともあり、周りと違う自分の姿を自分自身が認められなかったという。2016年12月、橋本さんは地元・福島で行われた車いすラグビーの体験会に参加。車いすラグビーの楽しさに一気に魅了された。2017年4月、日本代表の合宿が福島で開催。見学に招待された橋本さんは池崎さんと出会う。日本のエースとして世界で活躍していた池崎さんは橋本さんにとって雲の上の存在。2017年12月の日本選手権で橋本さんは池崎さんと対決。世界トップレベルの凄さを肌で感じたことが橋本さんの心に火をつけた。2018年、史上最年少の16歳で日本代表に選出。1チーム4人でプレーする車いすラグビー、橋本さんは池崎さんと同じ点取り屋のポジション。橋本さんは当時を振り返り、怒られてばかりだったと話した。当時はフィジカルやスタミナなど課題が山積み、世界で戦えるレベルではなかった。東京パラリンピックで日本は銅メダルを獲得したが、橋本さんは3位決定戦に出場することはなかった。試合後、池崎さんは橋本さんに次はお前の番だ、期待しているから頑張ってここまで来いと声をかけた。東京パラリンピックから半年後、橋本さんは公務員の仕事を辞め、競技に専念。地元・福島だけで練習するのではなく、東京へ週の半分以上、自ら運転して通うようになった。さらに取り組んだのが肉体改造。努力の成果は徐々に表れ、国際大会での活躍が増えていった。7月の日本代表会見で橋本さんはチームを引っ張っていける存在にならないといけない。3年間やってきたことが間違いではないと証明したいと話した。