午後LIVE ニュースーン (特集)
福島県にある鉄道会社の車両基地で、先月、将来運転士になる夢を持つ5歳の男の子が車両の運転を体験した。男の子は目の小児がんで、右目は義眼で生活をしている。体験会は小児がんの患者や家族を支援する団体が鉄道会社に協力を求めて実現した。団体の代表を務める看護師の千葉友里さんは、子どもたちや家族を勇気づけたいとこうしたイベントを開催している。千葉さんは3年前、三男を脳の小児がんで亡くした。小学校入学からまもなく、三男の表情の変化が乏しくなったと感じた千葉さんが病院に連れて行った。検査の結果、脳にがんが見つかり、余命1年と告げられた。千葉さんは幼い兄弟たちの助けを借りて、三男を自宅で看病することにした。三男の体調は日に日に悪化し、顔や体が動かせなくなっていった。千葉さんは精神的に追いつめられ、誰かに助けを求めたいと思うことが増えていったという。懸命に病気と戦った三男は、自宅で療養を始めて1年後に亡くなった。8歳だった。同じような境遇の家族の負担を少しでも減らす手助けをしたいと、三男が亡くなって2か月後に千葉さんは支援団体を立ち上げた。真っ先に取り組んだのが、子どもや若い世代のがん患者が自宅で療養する際の支援制度の実現だった。原則40歳以上であれば介護保険を使って車椅子を借りたり入浴などの介護サービスを受けたりできるが、年齢に満たなければ利用できない。千葉さんは自身が住んでいる富谷市に40歳未満で回復の見込みがないがん患者が利用できる支援制度を設けるよう訴え、2年で制度が実現した。千葉さんはかけがえのない子どもが重い病気にかかる辛さや不安を知っているからこそ、支援を広げていきたいと考えている。
