屋上の“草原”ニューヨークに自然を/地域の在来種でエコシステムを

2024年5月31日放送 10:31 - 10:42 NHK総合
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4時間前、トランプ前大統領が裁判所で有罪の評決を受けた。ニューヨークでは観光客が一番多い夏が始まっている。ニューヨーク市内のホテル代が1泊平均4万7000円と、記録的な値段になっている。理由は2つ。約2年前から中南米から移住を希望する移民が10万人以上押し寄せてきており、市は1万6000部屋のホテルを借り、ニューヨークのホテル部屋数の10%以上が移民のシェルターとして使われている。アダムズ市長のもとでAirbnbのような民泊がニューヨークではほとんど禁止されている。
ブルックリンの工場地帯の一角にあるビルでユニークなプロジェクトが進められている。屋上に、まるで草原のような緑のスペースを作る試み。ここで育てている植物はニューヨークに自生してきた在来種。花粉を運ぶ虫やそれを食べる鳥たちも集まってくる。そうしたエコシステムを再生することは周辺の気温を下げたり空気をきれいにする効果もある。この周辺のビル4つに全部で6000平方メートルサッカーのグラウンドとほぼ同じ広さのスペースがある。この草原を作ったのは造園設計家のマーニ・マジョレルさん。長年にわたってニューヨークの自然を再生する取り組みを続けてきた。マーニさんはニューヨーク州の環境保護局から助成金を受け5年前に、この草原を作った。しかし、維持するための費用はマーニさん自身が賄わなければならない。そのため今年、新たに始めたのは草原で収穫した花を売ること。月2回、青空市場で店を出し、ワイルドインディゴなど1束20ドルで花を売っていた。
マーニ・マジョレルさんにインタビュー。いつから野生の草花に興味を持ったのかについて「常に興味があった。生物学や環境保護を学び屋上で野生の花を育てるというアイデアに引かれた」と答えた。ワイルドインディゴは店で買う花とはどう違うかについて「売るために育てられた花はタイミングよく咲くよう遺伝子組み換えが行われているが、この花は季節ごとに咲く。虫や鳥と関係を作り、健康なエコシステムを守ってきた」と答えた。50年後どうなっているのが理想かについて「多くの屋上が緑で覆われ、人々が在来種の花を愛するようになってほしい。野生の草花をもっと手に入りやすくし、その美しさや重要性を伝えていきたい」と答えた。マーニーさんのように生態系を第一に考えたアプローチはまだまだ目新しいという。


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