新プロジェクトX〜挑戦者たち〜 廃校寸前からの逆転劇〜高校生と熱血先生の宇宙食開発〜
2007年、日本初の有人宇宙施設「きぼう」の建設計画が進んでいた。「鯖缶を宇宙に飛ばせるんちゃう?」という生徒の発言で、小坂さんと生徒たちは鯖街道を宇宙まで伸ばそうと夢を持った。しかしJAXAに問い合わせると、缶詰は容器がかわばるため宇宙食には使えないと言われた。生徒たちは「缶詰じゃない宇宙食を作ればいい」と、西さんたちのエチゼンクラゲの粉末を活かした宇宙食作りを始めた。宇宙食には保存期間や品質の安定など厳しい厳しい基準がある。生徒たちが失敗を重ねる中、小坂さんは手を出さずに見守った。その後JAXAの宇宙食担当者も試食し、絶賛した。その矢先、小浜水産高校が再編対象になった。小坂さんたちは近隣の中学校に頭を下げて生徒募集のビラを配ったが、事態は変わらなかった。実習で交流を深めた地元の人たちが集まり、学校を残せる道はないか県の教育委員会と何度も話し合った。2年の話し合いの結果、近くの若狭高校に海洋科学科を新設し再出発する案が出た。宇宙食の夢は新たな学校に受け継がれた。1期生の田中さん、村橋さん、野村さんは無重力での食べやすさに挑んだ。葛粉でとろみをつけ、飛び散らない調味液を開発した。4年後輩の高山さんたちは先輩たちの残したノートを読み込み、味付けを研究した。2020年、宇宙へ行った野口聡一さんは生徒たちが開発した鯖缶を食べた。