国際報道 (ニュース)
去年7月、アメリカで行われた世界最大級の格闘ゲームの大会。世界各国から有力選手が集い熱戦が繰り広げられた。決勝はパキスタン人同士の戦いに。優勝した選手は大会2連覇を達成し、パキスタンの勢いを世界に示す結果となった。パキスタン勢の強さの秘密を探るため、東部の都市ラホールを訪ねた。若者たちが集まるのは地元のゲームセンター。日本・韓国などでは通信環境や家庭用ゲーム機の性能の向上によりオンライン対戦が主流。一方で通信が不安定で経済的理由からゲーム機を持っていない人も多いパキスタンでは、ゲームセンターに集まり、目の前の相手と直接対戦する。夏場は特に停電が多いパキスタン。ゲームセンターには自家発電機が欠かせない。常にゲームができる環境を求め、国内ランキング上位のプロ選手も訪れる。世界レベルの相手と対戦できるだけでなく、直接アドバイスを受けることもできる。ゲームセンターが「道場」のような空間になっており、こうした環境こそがパキスタンをeスポーツの強豪国に押し上げている。eスポーツのプロ選手のムハンマド・ファジーンさん。10歳からゲームセンターで腕を磨き、世界大会で上位に入賞するなど、今注目される選手の1人。パキスタンの平均月収(約2万円)を大きく上回る収入を得ている。ファジーンさんは今も頻繁に地元のゲームセンターに通う。将来有望な若手を見出し、後進に技術を伝えることで、パキスタンのeスポーツをさらに発展させたいと考えている。ファジーンさんが目をかけているのが10歳のムハンマド・ムサ・シェークさん。父親に連れられ、ゲームセンターに通うムサさん。去年、国内のTOP10に入る選手を破り、業界に衝撃を与えた。学校に通いながら世界トップクラスの選手になることを夢見ている。eスポーツに熱い視線が注がれるパキスタン。ゲーム機などの売上も伸びている。パキスタン政府もeスポーツやゲーム関連産業は成長が見込まれるとして後押しする考え。