採用率低下 背景に何が

2024年5月17日放送 21:25 - 21:32 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

若者の学びを支援する奨学金に異変。病気で親を亡くした子どもたちなどを支援する「あしなが育英会」の奨学金。高校の入学に向けた奨学金は、おととしまでは申し込みの9割程度に出せていたが、去年、ことしは5割程度にまで低下。東京都内の大学に通う女性は、高校1年生から約5年間、あしなが育英会の奨学金を利用。父親は、国指定の難病を長く患っていたため、思うように働けず、去年死去した。高校時代、奨学金があったことで、学用品を購入したり、部活動を続けたりできた女性は、将来教員になる夢をかなえるため、大学でも奨学金を受けて、勉強に必要なものの購入に充てている。女性は「なくてはならない存在。将来の夢を負えるのはありがたい」と語った。1988年から奨学金制度を始め、のべ約6万人の子どもたちの進学を支えてきた「あしなが育英会」。奨学金の原資は、個人や企業からの寄付、街頭での募金活動などで成り立っている。グラフ「高校入学に向けた奨学金の申請件数の推移」。申請が急増し、今年度は1800件と過去最多。あしなが育英会によると背景にあるのは、物価の高騰や給付の仕組みの変更。これまでは高校に進学予定の生徒や高校や高等専門学校に在学中の生徒を対象にした奨学金は一部返済が必要だったが、去年からいずれも返済が不要な給付型に変更。そうした結果、申請が急増。あしなが育英会の理事で、奨学金制度に詳しい桜美林大学・小林雅之特任教授は、今回の事態について「返済が不要であれば、奨学金を利用したいという潜在的なニーズがあったのではないか」と指摘。想定をはるかに上回る申請が出された結果、奨学金に充てる資金が追いつかなくなる事態になっている。グラフ「あしなが育英会奨学金・高校入学に向けた申請数推移」で、奨学金を出せた割合は、おととしまでは申請の9割程度だったが、去年とことしは5割程度。あしなが育英会・富樫康生奨学課長は「切迫した声もあり、限られた財源の中で、非常にもどかしい思いを感じている」と語った。それでも「奨学金を返済不要な給付型に変更した意味はある」と考えているあしなが育英会。「将来の返済の不安を抱えることなく、勉強できる環境を持ってもらいたい」としている。若者の学びを支えていくための今後の支援の在り方をどうすべきか。桜美林大学・小林雅之特任教授は「以前に比べれば学生への支援は、かなり手厚くなっている。残念ながら一部の人にしか届いていない。金額的にも十分とはいえない。社会全体からしても大きな損失。寄付、クラウドファンディングという新しい方法も出てきている。公的支援も拡大していく必要がある」と述べた。奨学金、半数もの人が受けられないという深刻な状況になっている。教育費などの支援のうち、高校生向けで国や自治体が返済不要で給付を行っているもの。高校に通う収入が一定未満の世帯の生徒に対して、授業料に充てる制度。生活保護世帯や非課税世帯を対象に授業料以外の教育費を支援する制度。ほかにも大学、専門学校などの学生向け支援、民間が行っている支援もある。学ぶ意欲があっても、経済的な理由で諦めざるをえない若者もいる。そうしたことがなくなるよう、社会全体で支えていく必要がある。


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