国会中継 (代表質問)
日本共産党、志位和夫氏の質問。冒頭では石川県能登の豪雨災害で亡くなられた方々に深い哀悼を申し上げ、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げますと話した。ただ1月の震災の教訓が生かされておらず、見捨てられたとの声も上がっているとのこと。浸水した仮設住宅の改修や安心できる場所への仮設住宅の建設など、住まいの支援への強化を強く求めますとも話した。旧優生保護法の意見判決を受け、本日の本会議で所在決議と被害補償法を可決し、優生思想を根絶することは政府と国会に課せられた重要な責務であるという。
総理への政治姿勢の基本について3つの点を質問するとのこと。第一は腐敗政治をなくし、政治に信頼を取り戻すという問題。自民党総裁選で国民に判断してもらえる材料を提供するのは新しい総理の責任だ、本当のやり取りは予算委員会だと繰り返した。だが総理に就任すると前言を覆し、あさってにも解散を強行するとしている。解散選挙は大問題だが自らの発言を平気で覆すと今後は総理がどんな発言をしようと国民は信用することができなくなる。また裏金問題について、日本ジャーナリスト会議は本年度のJCJ大賞に裏金のスクープを選ぶとともに受賞理由の中で裏金問題を大政治犯罪だと断罪した。総理は裏金問題を大政治犯罪と認識しているのか。徹底的な再調査を行い、国民に真実を明らかにすべきではないかという。パーティー券も含めて企業・団体献金は全面的に禁止し政党助成金は撤廃すべきである。
7月に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査で生活が苦しい、と答えた方は59.6%にのぼった。働く人の実質賃金はこの11年間で年33万円も減ったという。大富豪の資産はふくれあがったがこれは自然現象ではなく、異次元の金融緩和で物価高騰を招き国民を苦しめたり使い捨て労働を蔓延されているのは全ては自民党の経済姿勢の結果である。総理は岸田内閣の経済姿勢を引き継ぐということだが、こういう経済姿勢を引き継ぐのか答弁を求めるとのこと。経済政策の大転換が必要であり3つの点に絞ると第1は最低賃金を全国一律1500円に引き上げること。日本共産党は税収を中小企業の賃上げにあてる提案を行っているが、この提案を受け入れる意思はないか。
第2は賃上げと一体に、労働時間を短縮し自由な時間を増やすこと。日本の労働時間はヨーロッパに比べて年間で300時間も長く、過労死がいまだに一大社会問題になっている。こうした中、博報堂の行った若者調査では今一番ほしいものとの問いに1位はお金で2位は時間で3位は自由という結果が出たとのこと。あるベビーシッター会社が子育て中のお母さんを対象に母の日のプレゼントに何がほしいかというアンケートを行うと、断トツで1位だったのは自分だけの時間とのことだった。ジェンダー平等の日本を作るためにも労働時間の短縮が必要だと考えているという。働く人が収入とともに、余暇や趣味を楽しんだり家族との時間を大切にし社会活動に取り組むための自由な時間を持つことができる社会こそ本当に豊かな社会と言えるのではないか。
第3は税金と財政のこと。富裕層と大企業に負担を求めて消費税を緊急に減税する・インボイスは廃止するというのが物価高騰への最良の特効薬ではないか。高齢者の負担を増やし給付を減らすのは当たり前という冷酷な政治がまかり通り、高齢者の人権と尊厳が踏みにじられている現実は非情である。老人福祉法は老人は多面にわたり社会の進展に寄与したものとしてかつ、豊富な知識と経験を有するものとして敬愛されるとともに生きがいを持てる健全で豊かな生活を保障されるものとすると定めている。この基本理念にとって年金介護・医療の充実をはかることこそ政治の使命ではないか。
大学の学費値上げが社会問題となっている。高等教育への負担を大幅に増やし、学費値下げに踏み出し、学費ゼロの社会を作るために本気で政治の責任を果たすべきではないか。
日米軍事同盟や絶対の政治を続けていいのかが問われている。集団的自衛権の行使容認、長射程ミサイルの配備、GDP費2%への大軍拡、武器輸出の解禁など憲法9条のもとでできないとされてきたことが次々と強行されている。それらの全てで日米同盟の強化が最大の理由とされている。日本が軍事同盟強化で構えれば、相手も軍事で構えて悪循環を広くしてしまいその先には決して平和は訪れない。日本共産党は軍事同盟強化に断固反対を貫くという。ASEANは年間1500回もの会合を持つなど、徹底した対話の積み重ねで東南アジアを平和の共同体に変えた。また東アジアサミットを強化して、東アジアの全体を戦争の心配のない地域にする大構想を提唱している。日本政府のすべきことはASEANと協力して、東アジアに平和を構築する憲法9条をいかした平和外交ではないか。
石破総理大臣の答弁。石川県能登の豪雨災害について、避難所では温かく栄養のある食事やプライバシーを守るためのパーテーション等を速やかに提供することが重要と考えており、政府としても発災直後から取り組んでいるが改善が必要な点があれば早急に対応し、避難所の良好な生活環境を確保するとのこと。浸水被害を受けた仮設住宅については復旧費用の国庫負担などを行うとともに、希望があればみなし仮設住宅など代替となる住宅を提供する。また予備費の活用によりさらに迅速な対応が可能となるとのこと。切れ間なく迅速に被災地の支援を行っていくと話した。
旧優生保護法について、新たな仕組みについては先ほど可決されたという。この法律案において国は国会とも適切に相談しながら対応していく。原告団との定期的な協議を行うとともに、当事者から寵愛者に対する偏見差別や優勢思想の根絶に向け、政府一丸となって取り組んでいくとのこと。
新内閣が発足したためできる限り早期に国民の判断が重要で、総選挙に向けては国民に判断いただける材料を紳士に提供するのも重要である。引き続き自分自身の言葉で語り、誠心誠意国民の皆様方に判断いただける材料を示していくとのこと。自民党における旧派閥の政治資金収支報告書の記載に関する認識について、政治資金は民主主義の重要な構成要素であり国民の信頼が失われれば民主主義の基盤が揺らぐことにもなりかねない。今回の一連の事態が生じたことについては国民の皆様方に深くお詫びを申し上げるとのこと。水月会の政治資金報告書については、誤りがあったのは内訳の金額であり収入総額の誤りは確認されていないのだという。またすでに訂正手続きは行っているとのこと。企業・団体献金については、見直しは行われなかったが政党助成制度は政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくこととなったものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つものだと認識しているとのこと。
大胆な金融緩和を含むアベノミクスはデフレでない状況を作り、GDPを高め、雇用の拡大などにもつながってきた。岸田内閣の新しい取り組みが賃上げや設備投資が成果につながってきたと認識してきたという。非正規雇用労働者の増加については、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方として増加してきた面もある一方で、不本意ながら非正規雇用で働いている方々に対して正社員への転換の支援策に取り組み不本意非正規雇用労働者の割合は減少してきているという。消費税については急速な高齢化等に伴い、社会保障給付費が大きく増加する中ですべての世代が広く公平に分かち合う観点から社会保障の財源として位置づけられているため、法人税減税をしてきたという指摘にはあたらず税率を引き下げることは考えていないとのこと。またデフレ脱却を実現するため賃上げや成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進め力強く発展する強靭な経済財政を作っていくと話した。最低賃金の引上げに向けた方策については、2020年代に最低賃金1500円にするという絶えまぬ努力を続けてきたが社会保険料が医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための事業主の責任であり、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じ、慎重な検討が必要とのこと。
ジェンダー平等のための労働時間短縮については、家事・育児の多くは女性がになっているという現状がありその改善は社会の意識改革や男性も含めて労働時間の短縮に取り組むことも必要と考えているとのこと。このため短時間勤務の活用や、生活時間・睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進を含め、働き方改革を進めていく。付加価値を最大化しより少ない労働時間でより多くの賃金を得ることにできるようにしていくことは重要であると考えているとのこと。残業の上限の規制に例外を認めていないなど、具体的な実現の手法や可能性の面で課題が多いと認識しているという。
物価高騰対策としての消費税引き下げとインボイス制度の廃止について。消費税は社会保障給付費が大きく増加する中で全ての世代が広く公平に分かち合う観点から社会保障の財源として位置づけられているため税率を引き下げることは考えていないという。インボイス制度については複数税率での課税での適正性を確保するために必要な制度であり、廃止することは考えていないとのこと。インボイスでの不安に関しては2割特例負担や事業者からの相談に引き続き対応していくという。社会保障制度は必要な支援が必要な方に適切に提供される全世代型社会保障の構築に取り組んでいくと話した。
高等教育費の負担軽減について。本年度から授業料の減額等の対象を中間層等に拡充し、令和7年度からは無償化の対象となる多種世帯の所得制御をなくすことにしているという。その上で教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでいくと話した。
日米同盟は日本外交・安全保障の基軸であり、インド・太平洋地域と国際社会の平和・繁栄の基盤であるという。国としての取り組みは憲法や国際法の範囲内で行われるものであり、平和国家として他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本方針は今後も変わらない。また非核三原則を政策の方針としているため、これを乱すような考えはないとのこと。唯一の戦争非爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて引き続き取り組みを継続・強化していく考えである。世界で最も危険であるといわれる普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければならない。米軍人の事件・事故は沖縄の皆様方に大きな負担を与えるものであり、あってはならないものと認識しているとのこと。今後も事件・事故の防止を米側に求めていく。アジアではASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っており、米・中・露も参加する多層的な地域協力枠組みがあるという。引き続きこうした枠組みへの積極的な参加や強化に取り組み、地域の安全と安定を一層確保するための取り組みを主導すると話した。