TBS NEWS (ニュース)
関門海峡海上交通センターは海上保安庁が全国7か所に設置する海上交通センターの1つ。英語の頭文字を取って関門マーチスと呼ばれる。ここで働く海の管制官に密着した。日勤・夜勤・明け・休みのローテーションで勤務。別府大悟さん(40)は海上保安監歴20年。この日は日勤。夜からの引き継ぎを受け、特に注意が必要な大型船の情報を共有した。管制官は速力(スピード)や喫水(船の水面から船底までの深さ)を確認。潮の流れや他の船の情報を提供し、航路や速度の調整を要請することで安全な航行を実現する。関門海峡は潮の流れが時速20キロに達し、S字になっていて先が見通せないことから全国屈指の海の難所として知られる。2009年10月には護衛艦とコンテナ船が衝突する事故が起き、指示を誤った管制官が書類送検された。近年は1万トン以上の船が増加している(2013年12.4%、2022年16.4%)。船が大きくなると小回りがきかないので管制官の緊張感は増す。別府さんの緊張感を和らげてくれるのが子どもからプレゼントされたネコのぬいぐるみ。昼食の最中も船の様子を気にしていた。鉱石を乗せた5万トンを超える船に2隻の船が近づいていた。別府さんは2隻の船に減速したうえで大型船の後ろを通るよう呼びかけたが、後ろの船が減速せずに追い抜こうとしていた。2度にわたる勧告をして後ろの船は減速した。別府さんは「できればずっと管制官としてやっていきたい」と語った。