列島ニュース 熊本地震9年
国の史跡「塚坊主古墳」は、1月下旬に復旧作業が始まった。平成4年に行われた県の整備事業で、石室を覆うコンクリートの保護施設がつくられ、年2回一般公開してきた。6世紀に描かれた赤や白の幾何学模様が今も残されている。9年前の熊本地震では、墳丘にわずかな穴が確認されていたが、その2年後に起きた西日本豪雨で、装飾のすぐ近くまで雨水が浸入したことで、保護施設の一部に約5センチの亀裂が入っていたことがわかった。復旧作業を担当したのは、地元の建設会社。古墳に携わるのは初めてで、元通りに復旧し、なおかつ頑丈に造ることを考えているという。作業には大型機械を使うが、傾斜した古墳の上には乗せられない。下からアームをぎりぎりまで近づけ、カーブミラーを駆使して、上の作業員と連携しながら進める。亀裂を漆喰で塞ぎ、広範囲にモルタルを流し込んで固める。その上に新たにシートをかぶせる。水を吸収し、下に漏れるのを防ぐ効果がある。石室の上には、発泡スチロールを乗せる。将来再び作業が必要になったときのために、ドローンで記録を残す。掘った土は人の手で埋め戻し、被災前の形を復元した。熊本地震の被害が確認された装飾古墳47基のうち復旧済または復旧作業中のものは18基だという。装飾は外気にさらされると損傷するおそれがあるため、復旧にはより時間がかかるという。