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今年の異常な暑さが野菜や果物、魚などの秋の味覚に大きな影響を与えている。昨日取材した農園でとれたナスは、日に焼けて水分が不足してひび割れてしまった。猛暑と梅雨時期の水不足が原因だという。このような異変で都内のスーパーでは多くの野菜が高騰している。埼玉県にある新鮮市場を訪ねた。大谷翔平選手が活躍するたびにセールを実施することでおなじみのお店。ピッチャー復活の際は卵Lサイズ199円、スイカ333円のお買い得セール。いま計画しているのは“50号ホームランセール”。新鮮市場東本郷店・飯田智成店長が「夏場の問題、暑さの問題で例年よりもとれない。例年より少ないってなると価格が安くならない」などとコメントした。今年の“異常な暑さ”によって旬の野菜や果物が高騰している。都内の農園では約160種類の野菜を栽培しているうち、約40種類が“異常な暑さ”の影響を受けているという。タマネギは例年は直径10センチほどで出荷するが、今年は大きいものでも7センチ程度。さらに小さいものは3センチという。今年の6月~8月にかけての平均気温が全国153の気象台などのうち、132の地点で歴代1位の高温となった。千両ナスは皮に水分がないうえ、中身もスカスカに。今年栽培したナスのうち約4割が商品にならなかったという。8月下旬にブロッコリーとキャベツの苗を植えたものの全て枯れてしまい、再び苗を育てるのに畑を耕している状態。今年は以前に比べて苗を植えるのが1か月ほど遅くなる見通しだという。11月以降に出荷する際はブロッコリーとキャベツは例年より2~3割値段が高くなると予測している。
影響は旬の果物にも及んでいる。千葉県松戸市にあるぶどう園でも、紫に色づくはずの巨峰が“緑色”。原因は昼と夜の寒暖差のなさ。紫色になるには夜は気温23℃以下が適しているが、この夏は23℃を下回ることが少なく、緑色の粒が目立つ状態に。粒の大きさも例年より小ぶりで、収穫量も減少する見込みだという。千葉県の鮮魚店ではサケの切り身3切れで538円。例年よりも100円以上値が上がっているという。なだ万高輪プライム・鈴木晴智料理長が「(漁獲量が)年々減ってきている上にさらに減ってきているのが現実。(仕入れ)価格は2割3割上がっていると聞いています」などと話した。秋サケの定置網漁が始まった北海道では、過去最低の“不漁”が予測されている。北海道立総合研究機構によると、秋サケの来遊数は20年程前をピークに減少傾向。原因の一つは海水温の上昇だと専門家は指摘する。流通経済研究所・折笠俊輔さんが「海水がいつまでも高いのでなかなか戻ってこない状況」などと話した。海水温の上昇でサケが生息しづらい環境になっているうえに、えさとなるプランクトンが減っていることも不漁につながっているのではないかとみている。今後はワケありやSDGsをうたった規格外の野菜や果物を販売する店が増える可能性もあるという。
