モーサテ プロの眼
木下智夫のプロの眼。テーマは「アメリカ資産、年末までには再評価か」。今後数か月はアメリカ離れが進み、ヨーロッパや日本、新興国がその受け皿になる。背景には「アメリカ景気への信頼に陰り」「減税法案成立による財政悪化懸念」「アメリカ株の割高感」の3つのポイントがある。しかし年末までには状況が変化して、アメリカ株やドルを再評価する動きが出てくると予想。トランプ関税によるアメリカ景気への悪影響は7ー9月期に最も強く顕在化するが、その後は「通商ディール」や利下げによるプラス効果が出てくる。また減税法案による財政赤字の拡大は10年間で2.4兆ドルと試算されているが、既存の減税策の延長分のコストを除くと財政収支が黒字になるため、財政赤字が大きく悪化するわけではなさそう。そして今後数か月の間にヨーロッパ株に資金が集まり割高になることで、アメリカ株の割高感は相対的に和らいでくるのではないか。またアメリカには生成AI関連の銘柄が数多くあるため、世界からの投資が引き続き入っていくと予想される。トランプ政権の誕生後グローバル投資家の間では分散投資の重要性が意識されており、年末にかけてはアメリカ株だけではなくバランスよく資金が入っていくような展開になるのではないか。