能登半島地震からまもなく半年 震災の傷を「金継ぎ」でつなぐ

2024年6月27日放送 23:23 - 23:30 TBS
NEWS23 (ニュース)

こちらの器、能登半島地震で壊れてしまったが、漆でつなぎ、金で装飾する金継ぎと呼ばれる伝統的な技法で修復された。能登半島地震の発生から間もなく半年。この金継ぎで被災した方々の器を直し続けている男性がいる。なぜ今、器を直しているのだろうか。美術家・中村邦夫さん。1月1日の地震で壊れた器を金継ぎで直し続けている。修復費用は受け取っていない。割れた器と一緒に届く被災者からの手紙。1月中旬にSNSで呼びかけ、これまで60個ほどの器を直してきた。そんな中村さんも能登半島地震の被災者の一人。漆の研究や伝統工芸を学ぶため、輪島と珠洲の古民家を購入したが、元日の地震で、珠洲の古民家は全壊。輪島の家も。今は家が崩れないよう補修しながら公費解体の順番を待っているが、いつになるかは、まだ分からない。その日の作業を終えた中村さんは休む間もなく新たな依頼者のもとへ。こちらの男性が持ってきたのは、火事で焼けた珠洲焼。てんだ商店・田中宏明さんの店は輪島市の朝市通りにあった。そこで伝統工芸品の珠洲焼を売っていたが、元日に発生した大規模火災で店は全焼した。田中さんが望むのは輪島朝市の一日も早い復興だが、建物の撤去解体は今月5日に始まったばかり。完了時期の見通しは立っていない。
美術家の中村邦夫さんは、震災で壊れた器を金継ぎで修復している。露店を営む人の平均年齢が70歳を超えるという輪島朝市。てんだ商店・田中宏明さんは、同じ場所に店を再建させそこに修復した珠洲焼を飾りたいと話す。その理由は、引退を決めた作家の作品をこれからも伝えていきたいという思いだった。東京に戻り、早速、修復作業に取りかかる。火事で焼けた器を直すのは初めてだそう。ヒビが入った部分を漆と交ぜた珪藻土で埋めて、やすりで削る。これを繰り返し、最後に金粉をまいたら金継ぎは完成する。2週間後、田中さんのもとを再び訪れた。金継ぎされて帰ってきた珠洲焼。田中さんは「こうやって残していろんな人に見てもらう。これは作家さんとしても本望だし、ありがたいことだと思う」などと語った。美術家の中村邦夫さんは「金継ぎした器を直すことによって、昔、地震・火事があったことを受け継ぐことができる」などと語った。


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