臨時国会閉会 高市首相が記者会見

2025年12月17日放送 17:20 - 17:59 NHK総合
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高市総理大臣の記者会見。本日臨時国会が閉会した。内閣総理大臣に就任してから物価高への対応を最優先に働いてきた。補正予算の成立で国民との約束を果たすことができた。強い経済、強い外交安全保障の実現についてもこの補正予算により一定の方向性を出すことが出来たと考えている。補正予算の編成にあたっては日本維新の会との連立政権合意を基礎としつつも、各党の政策提案も柔軟に取り入れ、国民民主党・公明党の皆様からもご賛同賜った。就任以来、日本成長戦略本部、地域未来戦略本部、人口戦略本部、外国人の受け入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議、クマ被害等に関する関係閣僚会議など幅広い課題にスピード感を持って対応するための体制を整備した。今国会においては政府提出法案について11本全てが成立した。合わせて自由民主党・日本維新の会・立憲民主党・国民民主党・公明党・日本共産党の6党合意に基づきガソリン・軽油引取税の暫定税率を廃止する法律も成立した。身を切る改革として総理大臣を含む閣僚等について議員歳費を超える給与を受け取らない法改正も成立した。議員定数削減法案については残念ながら審議すらされなかったが引き続き通常国会で野党の理解を求め成立を期したい。19日に与党税制改正大綱の取りまとめ、26日に令和8年度当初予算の閣議決定を予定している。補正予算においては生活の安全保障・物価高への対応として約8.9兆円を措置した。ガソリン・軽油の引き下げ、電気・ガス代支援、重点支援地方交付金、子育て応援手当、事業者向けには赤字の医療機関・介護施設を中心に報酬改定を待たず前倒しで医療介護等支援パッケージを約1.4兆円措置した。令和8年度報酬改定においても対応する。中小企業・小規模事業者の賃上げ環境の整備についても約1兆円の措置を講じた。これらについて迅速な執行に務める。
いわゆる「103万円の壁」については今年の年末調整から納税者1人あたり2万円~4万円の所得減税が行われるが、加えて基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置について令和8年度税制改正で措置すべく与野党間で最終的な調整を行っている。教育無償化については来年度からの実施に向け対応していく。日本に今必要なのは行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させるのではなく、積極財政により国力を強くすること。成長する経済により企業収益の改善と賃金上昇に伴う個人所得の増加を生み出すことにより経済の好循環を実現し、税率を上げずとも税収が増えていく姿を作ることで財政の持続可能性を実現する。責任ある積極財政は先を見据えた戦略的財政出動であり規模ありきでいたずらに歳出を拡張していくことを意味するものではない。内閣官房に設置した租税特別措置・補助金見直し担当室において片山大臣を中心に無駄を削ぎ落とした財政支出を目指す。こうしたワイズスペンディングの考え方に基づく戦略的財政出動により強い経済を構築し成長率を高めていくことと相まって政府債務残高の対GDP比の着実な低下を図り、財政の持続可能性を確保しながら国内外の市場の信任を高めていく。当初予算と補正予算を合わせた補正後の国債発行額は昨年度の補正後の発行額を下回っており財政の持続可能性に十分配慮した姿になっている。予算全体のメリハリ付けを行う中で重要施策に予算を重点化しつつ市場の信任を確保できるものとしていく。成長戦略の肝は危機管理投資。危機管理投資とは経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康・医療安全保障、国土強靭化対策、サイバーセキュリティなどの様々なリスクや社会課題に対して官民が手を携え先手を打って行う戦略的投資。世界共通の戦略課題解決に資する製品・サービス・インフラを国内外の市場に展開できればさらなる日本の経済成長につながる。頭出しとなる予算を約6.4兆円措置した。戦略分野に対する支援の深堀りを行い、切れ目なく危機管理投資を推進する。日本成長戦略本部を立ち上げ17の戦略分野と8つの分野横断的課題を確定した。17の戦略分野については複数年度の財源フレームに基づく枠組みや官公庁による調達や官民投資ロードマップを来年夏までに策定する。新技術立国に向け成長が見込まれ且つ研究開発の難易度が高い技術領域について研究開発税制の深堀りを行う。令和8年度当初予算でも大学等における基礎研究基盤の強化のための措置を大幅に拡充する。日本のコンテンツを生み出すアーティスト・クリエイターにより多くの国で活躍していただけるよう550億円を超える補正予算を活用し海外売上高20兆円を目標に複数年での支援で官民連携で強力に後押しする。
レアアースを含むサプライチェーンの強靭化は急務。政府をあげてリスクを徹底的に洗い出し躊躇なく迅速な措置を講じる。供給不安定化について懸念を共有する同志国との連携強化のため対話を積み重ねる。クマ被害について対策パッケージを策定した。129億円の補正予算は既に自治体が緊急的に実施した事業に遡って交付可能。冬眠期の前と後での対策を切れ目なく実施する。総理大臣就任以降様々の貴重な外交機会にめぐまれた。6回の国際会議に出席し18か国・機関との間で22回の会談を実施した。変化の激しい国際社会の中で日本のプレゼンスを高めることが出来たと考えている。日米同盟についてトランプ大統領の訪日や電話会談を通じ、新たな黄金時代の構築を相互に確認し信頼関係を構築した。米国とは世界的課題について常に連携しながら取り組んでいく日米関係を更に発展させていく。中国は日本にとって重要な隣国であり、建設的且つ安定的な関係を構築する必要がある。他方日中間には安全保障上の懸念事項が存在しているが率直に対話を重ね、戦略的互恵関係を包括的に推進する。存立危機事態に関する私の答弁は日本政府の従来の立場を変えるものではない。この点を様々なレベルで中国及び国際社会に対し粘り強く説明していく。広く東アジア・東南アジアのリーダーと首脳同士の信頼関係を構築できた。これを出発点に自由で開かれたインド太平洋の深化に取り組んでいく。韓国のイ・ジェミョン大統領とは立場の異なる諸懸案はあるが両首脳のリーダーシップで管理し日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで合意した。今後日韓のシャトル外交を積極的に進めていく。安全保障環境の激変を踏まえ防衛力の抜本的強化を我が国の主体的判断により実施する。来年中の戦略3文書の改定にむけた議論を加速させる。安全保障関連経費1.1兆円を措置した補正予算成立により国家安全保障戦略に定める対GDP比2%水準に達することになった。その財源は新たな家計の負担増とならない形の決着を目指す。必ず日本列島を強く豊かに、日本を再び世界の高みに押し上げる。その志を遂げるまで決断と前進の内閣として国家国民のために全力を尽くす。
高市首相の質疑応答。連立合意書には通常国会での目指すとされる項目が多数あるがどのように進めていく考えか、また政権運営の安定のために国民民主党・公明党との連立拡大は検討するか、解散総選挙による政権安定化などの考えはどうかと質問。高市首相は、「合意書の項目の多くを補正予算の中で措置している。来年の通常国会で法案を提出する事項含め着実に具体化が進んでいる。自民党内においても然るべき党内手続きを経て方針を決定する。連立拡大は相手側の意向もあるのでコメントは控えたい。目の前でやらなければならないことが控えているので解散については考えていない」と回答。
高市首相は日中関係について、建設的かつ安定的な関係を構築していくという方針は総理就任以来一貫している。我が国は中国との対話については常にオープンだと話した。日米関係については米国とは緊密に意思疎通を行っている。トランプ大統領との会談はできるだけ早期に行いたいと話した。給付付き税額控除については給付と負担のあり方や社会保障給付との整合性、所得の把握といった給付付き税額控除の制度設計を含めて議論を進めていきたい。できるだけ早期に国民会議を立ち上げ、議論したいと話した。防衛費の財源については防衛力の強化は必須。防衛財源確保のための所得税の見直しについては税制調査会で議論を行っている。議論の結果を踏まえて、適切に対応したいと話した。
高市首相は企業・団体献金について、自民党からも透明性を向上させることを内容とする議員立法案が提出された。残念ながら今国会中に成立することはなかったが、今後も各党の考え方の違いを踏まえた上で議論を深めて、国民に信頼される政治資金のあり方を追求していくと話した。議員定数の削減については各会派による議論が行われている。各党と議論しながら取り組みを進めていくと話した。
国の基礎研究に対する支援についての考えとして高市総理大臣は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口氏、ノーベル化学賞を受賞した北川氏に対して称賛し、基盤になるのは科学技術力とイノベーションを起こせる人材であり、高市内閣では新技術立国を掲げているため基礎研究を長期に支えられる環境構築が極めて重要で既に必要な経費を計上もしていて、来年度から始まる科学技術イノベーション基本計画の取りまとめにおいても基盤的経費や基礎研究への投資への大幅な拡充を検討するよう関係閣僚に指示をしているとした。中国政府が日本への渡航を制限したことや事態打開に向けた考えについて高市総理大臣は、中国側との意思疎通が重要であり、状況を注視して対応し、既に影響が出ている観光業については日本人による国内旅行はもちろん、様々な国へのアプローチも力を入れていきたいとした。政権発足からの自身での評価について高市総理大臣は、物価高への対応を最優先に行い、補正予算の成立という形で国民への約束は一定程度果たせたといえ、今後は国力を高めるために外交力・防衛力・経済力・技術力・情報力・人材力をスピード感を上げて強くしていくとした。


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