買収の可否“大統領判断”に

2024年12月24日放送 22:08 - 22:15 テレビ朝日
報道ステーション (ニュース)

日本製鉄のUSスチール買収計画を審査していた米国の政府機関は一致した結論が出せないため最終判断をバイデン大統領に委ねることを決めた。国家安全保障上のリスクがあるのか、ないのか、米国政府の審査が期限を迎えようとしていた。4月、バイデン大統領は「これからも完全なる米国企業であるべきだ」と述べた。大統領選挙の最激戦地、ペンシルベニア州を舞台にした日米の買収話は経済的な合理性と政治的思惑が絡み合い、窮地に陥っている。USスチールは1901年設立。米国の経済を支え、中間層の黄金時代を築き上げた象徴的存在。生産量世界1位の座を日本製鉄の前身、新日鉄に明け渡すと工場が相次いで閉鎖。世界の頂点を極めた巨人はいまや業界24位に。それを世界4位の日本製鉄が買収するというのが今回の構図。USスチール側は「破談となればピッツバーグにある本社の移転や工場の閉鎖は避けられない」と警告。工場のある市の市長も地域の人達の暮らしのために日本製鉄による買収に賛成の姿勢を示している。日本製鉄としても人口減少とともに国内の鉄鋼需要は下がり、牽引してきた中国も不動産不況で頭打ち。望みをかけるのが先進国で例外的に人口増加中の米国。日本製鉄・橋本英二社長(当時)は「先進国では最も大きな市場であり、これからさらに成長が見込める市場」など話した。当事者と地元が進めたい買収に待ったをかけた大統領選挙の候補者たち。全米鉄鋼労働組合が反対する以上買収を容認するのは政治的にタブーとなっていた。CFIUS・対米外国投資委員会の見解は買収で国内の鉄鋼生産量が減り、国家安全保障上のリスクにつながる可能性があるというもの。バイデン大統領は15日以内に最終判断を下す。「大統領が熟慮することを強く要望する」とのコメントを出した日本製鉄。ある日本製鉄幹部の話では「もし買収が拒否されれば訴訟もじさない」としている。


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