NHKニュース おはよう日本 (特集)
全国で路線バスの廃止や減便が相次いでいる。福岡市では運転手不足が深刻化し3分の2が50歳以上。運行本数の維持が難しくなり、去年は4%、今年は3%平日の便を減らした。効率的な輸送実現のため、交通系ICカードをもとにしたビッグデータを活用し記録を分析、乗客の利用実績に合わせてダイヤに変更した。会社ではあわせて、採用活動も強化している。バスの運転免許の取得費用を全額補助するなど支援を充実させ、高校の新卒者をはじめ、若い世代を呼び込もうとしている。
一方、広島では路線バスを存続させるための新たな動きが出ている。取り組んでいるのは、バス会社どうしが連携する共同運営。広島市も入り、8社で協議を重ねてきた。特に中心部では乗客の奪い合いとなり、各社が収益を上げることが難しくなっていた。そこで、運行区間を分担し、重複する路線を減らせないかという。一方で、区間を分けた場合、どうしても乗客の多い中心部を担った会社のほうが利益が多くなってしまうという課題もある。共同運営を目指す会社の担当者は、4、5年後の本格実施に向け、各社の収益を集めて分配するプール制を検討するなど、調整していきたいとしている。今あったようなデジタル技術の活用、交通事業者どうしの連携促進は国も取り組んでいる。例えば、去年9月にキャッシュレス決済だけでも事業者がバスを運行できるようにして、現金を管理する手間、コストを減らして負担を軽くした。東京大学大学院の中村文彦特任教授は「人口が集積している場所については、やり方を工夫すれば生き残ることはできるとしたうえで、行政側がいろんな仕掛けで関与していくことが必要」と話した。