THE 陰翳礼讃 谷崎潤一郎が愛した美 (THE 陰翳礼讃 谷崎潤一郎が愛した美)
陰翳礼讃は現代の建築家にも影響を与えている。若い頃に陰翳礼讃を読んだという安藤忠雄は、自然とともに生きるのが日本の美意識で暗さも明るさも両方なければいけない、明るくて天井の高い近代建築には心の宿る場所がない、住まいは精神が住むところで精神の豊かさは陰影にあると話した。谷崎は床の間の美しさを、土壁や掛け軸との調和にあると説いている。円山応挙「驟雨江村図」の掛け軸をかけた床の間を自然光のみで撮影した映像を伝えた。20代後半で陰翳礼讃と出会った現代美術家の大竹伸朗は、特に床の間の陰影の美しさを描写した部分に共感したという。