ゴッホ 新たなる“発見”の旅〜知られざる真贋鑑定の裏側〜 (ゴッホ 新たなる“発見”の旅〜知られざる真贋鑑定の裏側〜)
ファン・ゴッホ美術館のテオ・メーデンドルフ上級研究員。2024年秋、ゴッホの贋作を見抜いた過程を初めて公にし注目された。贋作が明らかになると所有者の経済的利益が損なわれるため、これまでは贋作について公表してこなかった。
1928年に刊行された「フィンセント・ファン・ゴッホ作品目録」。当時のゴッホの全作品を網羅したもので、その後のゴッホ研究の基礎となった。注目は「女性の頭部」。30歳の頃に描かれた作品だが、手違いで大工に売られる。露天商の間で売り買いされた後、行方不明に。08年、アムステルダムのコレクターの遺品からこれとよく似た絵が見つかる。鑑定の結果は真作。10年後、これと同じような絵がまた鑑定に出された。結果、こちらが真作と判明。前に鑑定したものは偽物との結論を下した。
同じ時期に2つが真贋鑑定に出されたゴッホの絵画「女性の頭部」。2つ目が真作とわかったため、一度真作と判定した1つ目を再鑑定。結果、1作目は明らかな贋作と判定された。「レストランの内装」でも同じように2つが見つかり、1つは20世紀以降に描かれた贋作と判定された。色調がゴッホらしくないため、誰かが目録のモノクロ写真を模写したと考えられる。さらに調査を進めたところ、目録の情報に誤りがあったことも分かった。
