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帝国データバンクによると、ことし9月までの全国の飲食店の倒産件数は650件と過去最多ペースとなっている。その一因とされているのが、深刻な人手不足。こうした中、手間のかかる仕込みを外注できるサービスが広がりを見せている。仕込みの代行をしている総合食品卸の会社の特徴は、店のこだわりにオーダーメイドで応じること。例えば、ラーメンのチャーシューには、脂を内側に巻かないでほしい、断面が均等になるようにしてほしいといった細かな指示に応える。手間がかかる焼き鳥の串さしも、指定の大きさどおりにしている。こうしたサービスは新たな取引先の獲得にもつながり、コロナ禍で126億円まで落ち込んだ売り上げは、僅か3年で倍以上に伸びた。サービスを利用するタイ料理レストランを取材。平日のランチでは、100人を超える客でにぎわっている。厨房ではタイから呼び寄せたシェフを中心に仕込みを行っているが、割ける人員は僅か3人。この店では毎年賃上げを行ってきたが、円安の影響を受けて日本で働こうとする人は集まりにくい。限られた人員でやりくりするために、この店では看板商品「ガパオライス」のひき肉の仕込みを代行してもらっている。本場・タイでは手切りで肉の食感を残すが、直径8ミリの超粗びきの特別な注文で近い食感を実現。およそ1人分の人手がかからずに済んでいる。
仕込みの代行を行う卸会社では、配送の効率化も進めている。例えば、ビルの1階に入る飲食店と取り引きしている場合、ほかのフロアや隣のビルの飲食店など、同じエリアで集中的に客を開拓していることが利益につながっている。こうした仕込みの代行サービスは、市場が拡大している。例えば、ある調味料メーカーはラーメンの味を決めるオリジナルのスープなどを代行して作り提供している。ほかにも、あるIT企業は人手不足の飲食店と仕込みを代行してくれる食品工場をマッチングするサービスを始め、全国で1万を超える飲食店が登録しているという。