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経営者や熟練工が高齢化して、ノウハウや考え方をどう引き継ぐかが課題となっている。AIを使って引き継ぎを後押ししようという取り組みが始まっている。大阪・堺市の建設会社で社員たちがモニター越しに会話しているのは、この会社の会長のAIクローン。会長の西田芳明さん(72歳)は創業家の2代目として長年、会社を経営。建設業界のイメージを変えたいと、さまざまなアイデアを形にしてきた。例えば、おしゃれな作業服をデザインした。建設現場の重機をキリンの模様にしたり、囲いをサル山にしたり、動物園に見立てたアートに一変させた。引退を意識する中、東京のスタートアップ企業に開発を依頼。会社の理念や経営のノウハウを詰め込んだAIが出来上がった。
さらに製造の現場では、熟練の技を伝えるマニュアル作りにもAIを活用する動きが出てきている。静岡・富士市にある航空機エンジン向けの歯車などを製造する会社の熟練工、佐野実矢さん(72歳)。歯車の研磨から機具の溶接まで、ほぼすべての工程に精通しているため、定年退職したあとも指導役として会社に残ってもらっている。そこでこの会社が東京の精密機械メーカーと取り組んでいるのは、AIに質問してもらうマニュアル作り。AIが聞き取ると、作業のコツなどを記したマニュアルをものの1分で作成する。「バリバリ」や「バチバチ」などの擬音語も大切にしながら、職人の感覚を残せるのが特徴。佐野さんは「質問に対して自分が答えたのはすごく足らないところばかりだが、(AIが)補ってくれるという点ではすごく優秀」と述べた。