- 出演者
- 杉浦友紀 常盤貴子
石川・珠洲市の中心地から車で10分程の場所にある大きな倉庫。建築家の山岸さんはこの倉庫に地震や津波で壊れた家から引き取った障子やふすまなどの建具を保管している。おととしの元日、M7.6、最大震度7の地震が能登半島で発生。珠洲市は最大4.3m(推定)の津波に襲われ被害が拡大した。さらに、地震から9か月後、復興に向けて歩みが進められていた中、観測市場最大の豪雨に襲われた。1年の間に起こった複合災害、市内の家屋のほとんどにあたる5613棟が倒壊などの被害を受けた。珠洲市は壊れた建物の解体と撤去を去年10月末ごろまで順次進めた。山岸さんは1年ほど前に公費解体される建物から使えそうな建具を引き取る活動を始めた。それらを建具バンクと名付けた倉庫に保管し、希望する地元の人たちに無償提供している。並んだ建具は能登の職人の技が生かされている。
去年6月、山岸さんは解体を控えた珠洲市の民家を訪れた。家の持ち主の宮前さんは60年以上この家で暮らし、2人の子どもを育てた。家は地震で土台が傾き半壊と判定された。子どもと相談して解体を決めたが、せめて建具だけでも誰かに使ってもらいたいと山岸さんに引き取りを依頼した。山岸さんはガラス戸や襖など126枚を回収した。収集後は1種類ずつ写真撮影と採寸を行う。建具を引き受ける活動をボランティアで行う山岸さん。普段は愛知県の大学で建築学を教えている。珠洲市と関わるきっかけは4年前に開催された芸術祭だった。能登で受け継がれてきた豊かな建築や文化を残したいという思いから山岸さんは建具バンクを立ち上げた。
オープニング映像。
今回のテーマは能登の建具。建具バンクではボランティアで建具を回収して無料で引き渡しをしている。常盤貴子さんが撮影中の実話にもとづいてたドラマ「ラジオスター」でも能登で被災した建具などをセットで使用している。常盤さんと山岸さんはスズ・シアター・ミュージアムでの朗読劇での縁がある。愛知在住で大学に務める山岸さんは週末と講義のない月曜に2泊3日で能登に通っている。建具バンクの倉庫は銭湯「海浜 あみだ湯」を営む新谷健太さんに借りているという。建具はコンパクトに収納できて再利用しやすく、いいものが多いのでまずはもったいないという思いだったという。去年10月で公費解体は終了して、現在は主に譲渡の活動にシフトしている。
建具バンク開放日、さっそくやってきたのは大谷町在住の村上さん家族。一家が暮らしていた家は地震で全壊。しばらく避難生活を送り、1年半ほど前に現在の自宅に移ったが、この家もまだ半壊状態。この日、村上さんたちは帯戸や引き戸を持ち帰った。ガラスの模様が気に入った引き戸は宮前弘子さんの家から引き取ったもの。
仁江町から来た皆戸さん。仁江町は地震による土砂崩れで長期避難世帯に認定され住むことができなくなった。そこに豪雨が追い打ちをかけ約半数の住宅が壊滅的な被害を受けた。皆戸さんの家は中規模半壊だったが残したいと望んでいる。再建のめどは立っていないが、この日皆戸さんは帯戸を探しにきた。見つけた一枚板でつくられた美しい帯戸は皆戸さんのご近所だった家から引き取られたもの。いまは避難生活中なのですぐに引き取れないが、山岸さんはこうした悩みにも対応していて、取り置きをしてもらった。
採寸などデータを残していることについて、山岸さんは「採寸しておくとメモしてきた方に提案することができる。もともとどういう風に使われていたのか次の方にお話できるし、元の家主さんにも報告ができる」と話した。建具バンクでは令和7年12月現在、約930枚を収集、約120枚を譲渡、約100枚が取り置きされている。建具は奥能登の方々には無償で提供し、使われている様子を写真で送ってもらいアーカイブし、元の家主さんに報告している。
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帯戸やガラス戸などを引き取った村上さんご夫妻がリモートで登場。村上さん一家はおととし5月に中規模半壊だった今の家に住み始めた。スタジオの山岸さんは引き取った建具の使用状況を見せてもらい、宮前さんの自宅にあったガラス戸が使われていてうれしいと話した。
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飯田町にある手芸店の店主・坪野さんは被災し公費解体を受けた実家から、指物大工だった祖父が作ったガラス戸や襖などを建具バンクに引き取ってもらった。坪野さんは「実家が存在していた証を残したかった」と話した。坪野さんの思いを受け取った山岸さんは「建具自体が土地の文化。みなさんのお話もアーカイブしていきたい」と話した。
坪野さん宅の建具はいま寺家地区の民家で生かされている。建具を引き取った小泊さんの家は地震で被災し襖などが損壊。そこで建具バンクから坪野さんの実家の襖を引き取った。小泊さんは建具が整ったことで気持ちにも余裕ができたという。
山岸さんは実際に引き取られた建具が使われているのを見るのが初めてだったのでうれしかったと話した。坪野節子さんは常盤貴子さんと知り合いで、常盤さんは手芸屋さんの前を通ると絶対に寄って、そこでは坪野さんを中心に町の方々が何かしらやっているのでほっこりすると話した。山岸さんは「建具が入るとガランとしたところが部屋らしくなって、人も呼べるようになった」と小泊さんが話してくれたと明かした。山岸さんは普段は愛知で生活していて月に1度しか能登に行けないので、様々な人の力を借りていると思っていると言い、建具バンクの収納棚は常盤さんの夫である神奈川芸術劇場の長塚圭史さんのチームの方に作ってもらったと話した。建具バンクの活動は地元の建具屋さんの仕事を邪魔していないかが気がかりだったが、建具屋さんも被災した中で「こういう場所があってよかった」と言ってもらい嬉しかったと話した。
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