- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
東京にあるスパゲッティのパンチョでは水道にノズルがついていたが、このノズルを使うのと使わないのでは水道代が明らかに変化するという。ノズルを使うと水が細かく玉のようにでてくる。通常の蛇口だと水は1本の柱のようにでてくるがこのノズルは真ん中の穴に秘密がある。ここから空気を取り込むことで水を細かい玉状に分散しでてくる水の量が減って節水率は最大95%。蛇口を同じだけひねってノズルの効果を見るとその節水は一目瞭然。これはバブル90という節水ノズル。恵比寿にある京鼎樓 HANARE店でもバブル90は使われていた。また洗浄力でも、バブル90は何も付けていない状態のものより汚れが落ちる。通常の蛇口から出た水は汚れに直接当たるのは一部だけでほとんどの水は汚れについた水の上を滑って無駄になる。一方、バブル90は水の玉がマシンガンのように汚れにあたる。少量の水でも大幅に節水でき、この商品は大手レストランでは8割、スーパーマーケットの5割で使用されている。そんな便利なノズルが今年一般家庭でも使用できるように。蛇口にバブル90がついたこの製品は、通常の水とバブル90の水の切り替えや取り外しも可能。
この画期的な商品に目をつけたのは、ヤマダデンキ 。住宅事業にも力を入れているというが活気的な商品に力を入れアピールをしたいという。 そんなバブル90を作っている会社はDG TAKANO。大阪府東大阪市の一角にある建物がDG TAKANOの開発拠点。2008年に創業したベンチャー企業で従業員は25人。この会社は一風変わったルールにオフィスの片隅にはマンガが。キングダムを読破すること決まりだという。その社長は高野雅彰。高野は節水というニッチなビジネスに取り組んだのか?高野が目をつけたのは世界的な水不足。2050年までに世界の2人に一人が水不足に陥ると言われている。地球規模の課題と向き合い、世界を動かす日本人50にも選ばれた。今年4月にはイタリア・ミラノの展示会に出展した。その躍進の秘密は町工場初の技術力。バブル90を製造しているのはオフィスのそばにある製造工場。ここはもともと高野の父が経営していた町工場。DG TAKANOはその会社を吸収合併し医術を受け継いでバブル90を作っている。バブル90を作るのに欠かせないのは複合旋盤機。様々な工具がついていて削ったり穴を開けたりする作業が1台でこなせる。制度は髪の毛よりも細い1000分の2ミリ。バブル90は7つの特許を取得し全国4万1000箇所に使用される。今では価格を抑えるためにプラスチックで作っている。
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DG TAKANOにやってきたのは大手家電メーカーのシャープ。シャープ側が自社の洗濯乾燥機について説明し、シャープがもつ様々な技術を高野にプレゼンした。すると高野は多くの日本企業は自社が持つ技術を使って何を作るかをデザインし製品にする。一方でDG TAKANOのデザイン思考は世の中の課題をデザイナーが考えそれを解決するのに必要な技術を集めてものづくりをする。そんな考え方で高野は全く新しい節水商品を考えた。それが魔法の皿。メリオールデザイン はごく普通の食器だが、更にラー油を垂らして水で汚れを落とすと広がってしまう。しかしこの商品は汚れがとれてしまう。皿の表面にナノレベルの凹凸加工が施されこれにより皿と油の間に水が入りこんで汚れをうかせて落とすことができるという。去年5月に発売されたこの食器は今や百貨店でも発売されている。さらにこの食器が能登半島地震の被災地で役立っている。
メリオールデザイン は被災地でも使用され、その汚れた皿は水で洗い指でこすると汚れが落ちていく。スタジオではDG TAKANOの家庭用バブル90が登場し皿の汚れを落とした。さらに水だけで汚れが落ちる皿のメリオールデザインもスタジオで実践した。高野はデザインについて日本では見た目の意匠デザインだと思われがりだが上流のデザインというのは何の課題を解決するか解決策を考えるのがデザイで日本には技術がたくさんありこの技術とこの技術を組み合わせれば解決ができるのでは?というところを考えているという。また汚れが落ちる皿に関しては90度以上で何十分も使用すると表面の加工が焼けてしまうイメージだという。しかし技術があるので新品状態に戻すことができるという。そのためにそう言った商品もあると紹介した。
6月に普通の皿をメリオール加工できるシートが発売された。袋を開けてみるとウェットシートのようなものが入っている。皿をシートでふいて30分乾かせば少ない水で汚れが落ちるようになるという。このシートを売り出したらメリオールデザインが売れなくなってしまう可能性も。高野はそれに対し自分たちは皿を売りたいのではなく地球環境を良くしたいという。高野は1978年に東大阪で町工場を営む家に生まれた。父は業務用のガスコックを作る職人で誤差を1000分2ミリ以内にできる一流の腕前だった。しかしバブルが弾けて近所の町工場が相次いで倒産していった。当時中学生だった高野は両親が頑張っているのに儲からないことに驚いたという。そのため家業は継ぎたくなくラリーマンもしたくなかったというが働きたいと思わなかったので自分で作ろうと思ったという。会社を作るなら経済の動きを学ぼうと神戸大学経済学部に進学。卒業後は3年間IT企業に務めて会社の仕組みを学んだ。世界中の問題を片っ端から調べていった高野。目にとまったのは世界の水不足だった。しかし節水の知識はおろか、機械の操作もできない。高野は工場にとまりこんで独学で機械操作やプログラミングを学びながら試作品作りに没頭した。半年後に84%の節水率に成功したが妥協せずに改良を続けた。節水率を極限にまで高める脈動流は一般的にトイレの洗浄便座などに使用されている技術だったが、手を借りたのは父だった。部品を削り出す特殊な刃物を作ってもらい、様々な形のノズルを試作。数千回の実験も行い2009年には水圧だけで最大95%の節水率となるバブル90が完成した。それを携えてベルリンにとぶと世界最大級の水の展示会に出品し大反響。国内では並み居る大手メーカーを抑えて“超”モノづくり部品大賞でグランプリを受賞した。
高野は起業する際に日本でしか売れないものを作っても大きな利益にはならないと感じ、世界中で売れるものを作りたいと考えたという。水を作ることは出来ないが節水なら可能性があると感じたという。ビジネスチャンスを感じた理由には無名の中小企業でものづくり系の会社ではなく環境系の会社が多かったので製品の技術レベルは低かったという。この中なら一番になれると感じたという。父は応援してくれ、自分が欲しいものを言えば作ってくれるという。
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バブル90の販売を開始したが、高野は大企業は相手にしてくれず、時代は節電の時代で蛍光灯をLEDに変えていこうという時代を迎えそちらに重きをおいていたという。発売開始から5年経過してもバブル90はほとんど売れず。借金は1億5000万円に膨らんだ。会社は倒産寸前に。そんなある日高野が出会った飲食店の社長にその製品を試してみてもらった所、その節水力に驚き急遽導入が決定した。それ以来営業を飲食店にしぼり、無料で試してもらった。すると契約につながり業績もV字回復しバブル90の評判は口コミで広がり、飲食チェーンや大手スーパーから注文が殺到した。その後汚れがすぐに落ちる食器のメリオールデザインを発表すると去年省エネ大賞を受賞した。その技術に惚れ込み世界中で働きたいという人が集まってくる。その中にはインドの社員のモハメドが。出身校のインド工科大学は世界的IT企業に多くのエンジニアを輩出している。日本の中小企業にやってきた理由には世界的な企業では先輩のサポートをする必要があることもあり、DG TAKANOなら自分が成長できると思ったという。外国人だけでなく もともとパナソニックだった社員も。
高野は当初バブル90が全く売れなかったことについて、ベルリンの展示会でバブル90は評判はよく世界でニーズがあることは分かっていたが日本は水不足ではないので購入しようという人がいなかった。また大企業に一度振られた経験があり、そこのトップの講演会に赴いて名刺交換の際に行列ができていたが自分はそこでおたくの社員が節水技術を紹介しているのに話を聞いてくれないとプレゼンをしたという。しかしそのまま秘書に別室に連れて行かれてしまったが詳細を聞いてもらえたという。転機になったのは直接飲食店に営業をかけたこと。無料で配り使ってみてほしいと営業をし、水道代が激減していることに驚いた先方が次々に導入を決めてくれたという。
国土の大部分が砂漠だというサウジアラビア。首都リヤドにあるキング・ハリド・グランドモスクに高野がバブル90の売り込みにやってきた。
首都リヤドにあるキング・ハリド・グランドモスクに高野がバブル90の売り込みにやってきた。礼拝の前にはウドゥという顔や足などを洗うイスラム教の儀式がある。ここでは毎日のように水が使用される。サウジアラビアの都市部で使用される水の多くは海水を淡水に変えて運搬したもの莫大なコストがかかる。そこで高野はこの国の水問題に取り掛かっている。ミネラルが多くつまりやすい硬水にも対応したプラスチック製のバブル90の実証実験が始まっている。さらに世界一の水有効活用システムを作りたいと提案しているという。サウジアラビア政府と連携し節水を超えるイノベーションが進行中。排水を使用した水の循環システムはこの切り札はバブル90を組み込んだシンク。ディスポーザーで食べ残しを粉砕しヒア水と一緒にバイオタンクにおくる。それを発酵させ肥料にかえて再利用する。高野はDG TAKANOで開発しているシンクは何でも流してよくバイオタンクに流れていくという。そこかた野菜ができ砂漠に緑ができるようになるという。埋もれた技術で問題を解決していきたいと答えた。
弁理士の永井道彰さんはDG TAKANOの特許申請を後押ししている。高野にもらった宝物があるという。
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弁理士の永井道彰さんはDG TAKANOの特許申請を後押ししている。お金が無かった際には助けてもらったという高野。その額は1000万円。その御礼にと高野は永井さんに贈ったのは特注のバブル90をプレゼントした。
村上は今日の総括に「お父さんを尊敬してますか」「もちろん」「仲がいいんですね」「ともいいです」こういう会話が素直にできる人が最近会ったことがない。DG TAKANOのDGは「デサイナーズ・ギルド」の意味。高野氏が考えるデザインとは課題を解決する手段。「バブル90」の開発は、水の使用量抑制と洗浄効果の両立が必要だった。水の玉を高速で飛ばす、精密な金属加工技術。父親が登場、東大阪市でガスコックを専門に扱う町工場を経営。アドバイスを貰いながら試作品を作っていく。成功し、冒頭の会話が生まれる。とした。
カンブリア宮殿の次回予告。