- 出演者
- 高井正智
去年認知症やその疑いがある人で行方不明になったのは1万8000人あまり。この10年で倍増している。その増加している背景を特集。
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オープニング映像。
認知症行方不明者は名前や住所が言えずに自宅に帰れなくなってしまう人のこと。警察への届け出も増えていて9割以上の人はみつかって保護されるが毎年のように100人を超える人が行方不明になり、死亡して見つかるケースは去年一年間で491人。
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認知症行方不明者が増え続けている。警察はその対応に追われているという。全国でも行方不明の届け出が多い神奈川県は毎日県内54の警察署から行方不明の情報が寄せられる。認知症の疑いのある人が行方不明になる事案は特異行方不明事案と呼ばれるケースに含まれ、神奈川県では10年で7倍になっている。この日横浜市で80代の女性がいなくなったという情報があった。でかけた時の服装や、背丈などの特徴、顔写真を頼りに捜索を始める。一時間の捜索でみつかったという連絡があった。女性は自宅から1キロほど離れた路上にいたという。通りかかった学生が心配になって声をかけたというがこうした一般人の通報で見つかるケースも。一方で街中で見つかるも身元がわからない人も相次いでいる。誰かからない場合は県内の行方不明届けと照合する。男性は5キロ離れた隣の警察署に届け出があったことから、妻と連絡がとることができた。先月の2週間だけでも認知症や、その疑いのある人が町中で保護されたケースは391件に。認知症の行方不明者が増え続ければ今後対応しきれなくなると警察は危機感をつのらせている。
保護されたものの、長期間身元がわからないままの人がいることもわかった。京都市内の公園で衰弱していたところを発見された認知症の男性は身元不明のまま9年あまり施設で暮らしている。田中清と名のり、今もその名前で生活している。これまで京都市は戸籍を調べたり情報提供を呼びかけたが今も有力な手がかりはないという。NHKが全国75自治体に取材したところ、身元不明のまま施設で暮らしている人は5人はいるということがわかった。
認知症の疑いのある人が行方不明になるケースが増えている。専門医はその背景に認知症の中で、軽度の人は物忘れが出始めるものの介護が必要でない場合が多く、日常生活には支障がない場合が多い。一人で買い物や散歩に出かけることができる軽度の認知症の人たちはなにかのきっかけで曲がる角を間違えるなどして道に迷うとパニックになり冷静に行動できなくなる。さらに、比較的体力があるために遠くに行ってしまいそのまま行方不明になることも。認知症の人の家族を対象に行ったところ、行方不明になった人のうち、6割が介護の必要性がなく比較的軽度の人たちだったという。
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熊本県の阿蘇市の島田八重子さんは去年5月に行方不明になりそのまま亡くなっているのがみつかった。家族が警察などとともに必死に探したが自宅から4キロ離れた用水路の中で発見された。死因は長時間水に浸かったことによる低体温症だった。島田さんは自宅近くを散歩するのが日課で、近所の人からも元気な人だと呼ばれていた。一方で徐々に物忘れが多くなり認知症が疑われるようになった。介護が必要なほどではなく、本人も嫌がっていたために専門医の受診は先延ばしにしていたという。齋藤さん夫婦は夫の共成さんが軽度の認知症と診断された。若い頃からフルマラソンに参加したり、ボディビルに挑戦するなど体を動かしていたが今も一人で散歩をしたりジョギングをするのを楽しみにしているという。しかし今年になって何度も行方不明に。9月には3日戻らず15キロ離れた場所でみつかった。本人の楽しみは奪いたくないと考えている妻の暁さん。体力的にも限界があるために対策をすることに。位置情報を知らせる小型の発振器を靴に付けてどこにいるかを常にわかるようにした。午前5時に共成さんは日課の散歩へ。しかし朝7時になっても帰ってこず、暁さんはスマートフォンを頼りに探しにいくことに。位置情報が送られてくるのは5分に1回。タイムラグがありなかなか見つけることができない。暁さんは警察に通報した。自宅周辺を3時間近く探したが、午前10時になり共成さんがみつかった。暁さんは夫の自由を制限するよりも好きなことをなるべく長く続けられる方法をこれからも模索したいと考えている。