2024年9月25日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
『虎に翼』が描く“生きづらさ”の正体 脚本家・吉田恵里香

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
朝ドラ「虎に翼」脚本家に桑子が聞く

今年4月からはじまった「連続テレビ小説 虎に翼」。日本初の女性弁護士を描いた大正から昭和にかけての物語。差別や不平等と戦う姿に多くの人が自らの生きづらさを重ねた。最終回を前に脚本家の吉田恵里香に桑子キャスターがインタビュー。

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連続テレビ小説 虎に翼
オープニング

オープニング映像。

『虎に翼』が描く“生きづらさ”の正体 脚本家・吉田恵里香
「虎に翼」が描いた人々の“生きづらさ”

日本初の女性弁護士の1人で、のちに裁判官となった三淵嘉子さんがモデルの「連続テレビ小説 虎に翼」。ドラマでは女性に対する偏見や差別が正面から描かれている。そのたびに主人公は「はて?」と疑問を投げかけ、まっすぐな気持ちで立ち向かう。主人公に限らずさまざまな立場の人の生きづらさも描かれた。男が家族を養うべきという固定観念に縛られる弟、家庭を支えることを選んだの専業主婦の葛藤も描かれている。

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三淵嘉子連続テレビ小説 虎に翼
なぜ今「虎に翼」を描こうと思ったのか?/「はて?」に込めた思いは?/「はて?」と声を上げる意味/エンタメだからできることは?/ドラマの象徴 日本国憲法第14条/「虎に翼」でなぜ憲法第14条を用いた?

「連続テレビ小説 虎に翼」の脚本家・吉田恵里香さんのインタビュー。今の時代に三淵嘉子さんの物語を届けようと思ったのか?脚本家の吉田恵里香さんは法律とというテーマで人権・平等を描くことで三淵さんの人生を通じて、さまざまな人の平等や生きづらさ、今この世の中が平等なのかが問えると思ったという。100年前の物語が今共感されていることについて、当時のことを書いたら結果今と重なる部分が多かった、なんとなく縛られていることは何かの残り香というか呪いのような気がするという。人の言葉は誰かを縛ることになる、無意識に発せられる呪いのようだと話した。主人公・寅子の「はて?」に込めた思いについて、声を上げて対話をすることで世の中を変えるきっかけにしたかった、対話しましょうよというのが「はて?」の意味だという。主張しないといいように使われがちで物分りのいい人に優しい社会じゃないと思うという。言わない自分と言う自分どっちがいいか悩んで、怒られても言う自分がいいと思うと話した。今回の作品においては声を上げることが大事、責任があると思うという。エンタメだからできることは?エンタメは正しくないやり方で 伝えることもできる、切り口や味付けなどを調整できるのが大きいと思う、今回のドラマについて吉田さんは直球を投げていく方法がいいと思った、誰かの権利や尊厳に関わることを都合のいい言葉に変えられるのはよくないと思ったという。

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吉田さんがドラマの象徴として繰り返し描いたのが日本国憲法第14条。日本国憲法において、法の下の平等がうたわれた条文。ドラマに登場する法律事務所の壁にも条文が書かれている。吉田さんは憲法第14条について、学生のときに授業で習ったときは当たり前のことと思っていたが、今思うとこんなに大事なことなのに実現できていない世の中は悲しいと思い響いた一文だったという。

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「虎に翼」が描いた声を上げにくい人々

ドラマでは社会で声を上げにく人たちが描かれる。性的マイノリティーの人々、障害者、認知症など。そうした描写に共感した日本文学研究者のロバート・キャンベルさん、いま生きている自分、家族にそのまま重なる気がすると話す。ドラマでは男性の弁護士・轟太一に同性のパートナーがいることが明かされる。轟は同性の婚姻が認められない制度に対してやり場のない怒りをあらわにする。男性のパートナーと暮らしているキャンベルさんは轟たちが生きた時代といま置かれている状況は変わっていないという。

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フォトジャーナリストの安田菜津紀さんも作品に共鳴した1人。特に注目した人物が朝鮮半島からの留学生・崔香淑。戦後、日本人と結婚し妊娠した崔香淑は自らのルーツを隠して名前を変えて生きていくことを選ぶ。安田さんの父親は在日コリアン2世、そのルーツを語らないまま安田さんが中学生のときに亡くなった。作品が可視化したのはいまなお続く、目に見えない息苦しさだという。

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「虎に翼」が描いた声を上げにくい人々/「虎に翼」声なき声を描くことの意味とは?

「連続テレビ小説 虎に翼」の脚本家・吉田恵里香さんのインタビュー。声を上げにくい人たちにエンターテインメントで寄り添いたいと思っていたという。声なき声を描くことの意味について、省かれてきた人たちに省かないで描こうと思っているだけだという。声なき声を大事にする理由について、吉田さんは感謝されるのも変、ないものとして扱われる人を描きたい、当事者が矢面に立つのはしんどいこと、格差がある中でエンタメがタッチしないというのは通じないと話す。

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「虎に翼」が描いたマジョリティーの罪

マイノリティーが描かれる一方で、ドラマでは無自覚に声を奪うマジョリティーの姿も描かれた。寅子の恩師である大学教授。弁護士になった寅子が妊娠を打ち合けると、気遣いのつもりが寅子個人の言葉を奪ってしまった。強い立場の人が押し付ける無意識の偏見が描かれた。その後、裁判官となった寅子も家族の声に耳を傾けられなくなる。家族は大黒柱となった寅子に本音を話せなくなっていた。

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マジョリティーの立場が出来ることとは?

「連続テレビ小説 虎に翼」の脚本家・吉田恵里香さんのインタビュー。マジョリティー側が意識することは?吉田さんは何かのマジョリティーに入っている以上、必ず誰かを傷つけている、誰からも搾取しない、誰も傷つけていないことはありえないことだという。自分に関係ないではなくマジョリティー側が変えることが世の中を変えると信じていると話した。

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