- 出演者
- タモリ 渡辺瑠海 木村佳乃 佐藤喜和 玉木康雄
列島に広がるクマ被害。10月8日、秋田県大仙市で住宅地を散歩中の女性がクマに襲われた。女性は通りかかった車に救助されたが、顔を4針縫うケガを負った。岩手県花巻市では、40人の園児が昼寝中の保育園にもクマが現れた。クマは園内を5分ほど徘徊しいなくなったという。岩手県と秋田県では、被害が拡大している。10月23日には岩手県盛岡市で住宅街の河川敷にクマが現れ、同じ日の北海道札幌市では住宅街の公園にクマ2頭が現れた。24日、秋田県東成瀬村で畑作業していた70代夫婦がクマに襲われ、助けようとした男性とその父親もクマに襲われた。男性1人が顔面損傷による低酸素脳症で亡くなった。岩手県一関市では27日、自宅の庭で男性が熊に襲われ死亡した。遺体にはクマによる複数の傷痕があったという。遺体発見の2時間後、被害者宅に戻ってきたクマが猟友会に駆除された。同じ日には秋田県秋田市でも、農作業中に女性がクマに襲われ死亡した。28日、防衛省では秋田県の鈴木知事が自衛隊に支援を要請。11月に入っても被害は止まず、11月5日に自衛隊が後方支援などの活動を開始した。クマによる人身被害が過去最多ペースで推移している今年度は、11月5日までで死者は13人となっている。
オープニング映像。
今年、全国で急増した人間の生活圏内に侵入する、いわゆるアーバンベアの行動は大胆になっていった。クマ目撃などの情報が都内だけで200件を超え、出没エリアは西部の山中から市街地へと拡大し始めている。日の出町ではビワを屋根の上で食べ続け、人が騒いでも動じずに居座るクマもいた。わずか5mの距離でクマと向き合った越沼規充は全く人に対する警戒もなかったなどと話した。空から見ると出現した場所の周辺に住宅が密集していることがわかる。全国で撮影されたクマの映像を紹介。今年10月5日に北海道芦別市の車道を闊歩。4月2日に庭に侵入。10月20日に秋田県湯沢市の消防本部の駐車場を疾走。自動ドアを開けて建物内に侵入。9月4日に宮城県加美町では家の中に侵入。7月8日、東京都青梅市を走行中のテレビクルーが遭遇した子グマは、車道を歩いていた。日の出町にある住宅の庭先では、勝手口の扉を叩いて中を伺っているように見えた。
クマについてスタジオトーク。タモリは怖い、俳優の木村佳乃は人間を全く怖れないしスゴく心配などと話した。酪農学園大学教授の佐藤喜和によると、今年のクマ出没は異常事態。今後も繰り返し起きる可能性がある。北海道猟友会札幌支部の現役ハンターである玉木康雄も、度肝を抜かれる状況などと話した。
ドローンを飛ばし、アーバンベアが山から住宅地まで侵入するルートを辿った。今年、アーバンベアによる被害が相次いでいる理由について、20年以上クマの生態を調査、研究している岩手大学農学部の山内貴義准教授に聞いた。個体数が増え過密状態になった山で、エサが残っている場所は強い個体が独占し、体の小さい個体や親子連れは外にはじき出される状態になっているという。アーバンベアの多くが山を追い出された親子グマや若いクマ。山内准教授が注目する岩手県北上市和賀町を一緒に回った。今年だけでクマによる死者が3人も出ている。6月上旬から住宅地に出没し始めたクマは、倉庫などに保管されている米などを食い荒らすようになった。ついに住宅にも侵入。
ドローンを飛ばし、アーバンベアが山から住宅地まで侵入するルートを辿った。岩手大学農学部の山内貴義准教授は岩手県北上市和賀町の住宅地に現れるクマは西の奥羽山脈のあたりに生息していたクマなどと分析。クマは川沿いの雑木林を伝って山から移動。川沿いの雑木林と住宅地の間に広がる田んぼや畑は耕作放棄地。背丈ほどの雑草が生い茂っている場所も少なくない。これがクマの侵入を容易にしている。川沿いに広がる雑木林はクマが出没している東京などでも確認されており、アーバンベア増加の背景になっている。山内准教授と取材に入っていた10月16日、和賀町の温泉施設で従業員が露天風呂を清掃中、クマに襲われ行方不明になった。翌日、従業員を襲ったと思われるクマが駆除され、近くで遺体も発見。山内准教授も岩手県の自然保護課からの要請を受けクマの解剖とDNA鑑定をするため現場に向かった。解剖の結果、クマから人間の一部が出てきた。クマが捕獲された場所から2kmほど離れたダムの近くで、10月8日にもクマに襲われたと思われる男性の遺体も発見。同一のクマによる被害の可能性もあるとみてDNA鑑定も行われた。
クマについてスタジオトーク。タモリは東京でもかなりの数のクマが出没していると指摘。酪農学園大学教授の佐藤喜和は、全国的に出てこなかった地域で出没し、そこで事故も起きるようになっているなどと説明した。クマが川を伝って雑木林の中を来るなら、世田谷に来る可能性もある。猿や猪は23区内にも出没している。
のぼりべつクマ牧場は、母グマを失った野生のヒグマを受け入れ1958年に開園した。人工繁殖を重ね、今では65頭が暮らしている。全国でクマによる被害が過去最多ペースで増加しており、中でも北海道にのみ生息するヒグマは30年間で約2倍にまで数を増やした。近年はヒグマが山をおり、市街地にまで姿を見せるケースが相次いでいる。秋にクマは冬眠に向けて食べ物を探すため活発になるが、主食は炭水化物、脂質が豊富なドングリ。しかし今年はドングリが不作で、エサを求めて人里におりてくるクマが増加傾向にある。また昨今温暖化の影響で積雪が減少し、エサを探せるようになり冬眠が遅れることで冬でもクマに出会う可能性があるという。ヒグマの爪の長さは5~8cmで、かぎ爪が特徴。走るスピードは時速40~45km。クマの怖さは殺傷能力の高い鋭い爪と、人間では逃げ切れない足の速さにある。またクマの嗅覚は犬の約6倍で、数キロ先のにおいも嗅ぎつけるという。
クマはどれほどの鼻がきくのか、タモリが北海道で検証。隠したエサ3個を探し当てた。酪農学園大学講師の伊藤哲治は、クマは記憶力が良いなどと話した。一度覚えた味やエサがあった場所を覚えている。近年ではゴミなどに執着して意図的に入ってくるクマが増加。タモリは、クマの生態を人間が学習することが対策になるなどと指摘。
クマについてスタジオトーク。タモリは本当にヒグマデカいなどとコメント。酪農学園大学教授の佐藤喜和によるとクマに縄張りはないが、強い個体が良い場所を占めようとするので劣位の個体は他のクマがいない場所を求める。木村佳乃はクマは群れを作らないのか質問。佐藤教授はヒグマもツキノワグマも基本的には単独行動するが、親子や親から独り立ちした双子の兄弟は複数で行動するなどと答えた。元々生息を確認していた地域に加え、2004年以降新たに確認された地域を示す地図を紹介。ツキノワグマの生息域は40年間で約2倍に増えた。
人間とクマはどう付き合っていけばいいのか、タモリがクマの対策の最前線、北海道知床を取材。ヒグマが高密度で生息するが、約55年間でヒグマによる人身事故は8件。2005年に世界自然遺産に登録。知床のヒグマ推定生息数は300から400頭。取材中、クマが出没。東京でもクマ目撃情報が後を絶たない。先月9日、日の出町で柿の木を登るクマが撮影された。100mほど離れた住宅でも柿を食べていたという。先月9日未明にはあきる野市の住宅の防犯カメラに映っていた。
クマ対策が進む知床で現地取材を行った。知床自然センターは、知床国立公園の利用案内を行う施設。知床財団では人里に出没したヒグマの特徴を細かく記録し、個体識別を行っている。個体識別を行うことで人を襲う危険があるクマかどうかを管理し、どう対応していくかの検討材料とするという。ヒグマが出没したという通報が入ると、知床財団は状況確認を行うために情報があった場所へと向かう。通報は1日に3~5回入るという。時には観光客がヒグマにエサをやってしまうこともあり、エサの味を覚えると人里に来る可能性があるためそのクマを捕殺するしかなくなるという。重要なのはヒグマを人里に近づかせないことだといい、斜里町ではウトロ地域を約7km電気柵で囲んでいるという。電気柵が初めて設置された2006年は49件だった市街地でのヒグマ目撃数は、翌年5件にまで減少した。ヒグマが開けられないように対策したゴミ箱「とれんベア」は、旭山動物園などで何度も検証を重ね開発された。中が見えず臭いがもれにくく、ロック式で強度が万全だという。
紀元前、日本人にとって狩猟の対象だったクマ。長い歴史の中で、クマはある特徴的な進化を遂げたという。獲物を噛みちぎる犬歯が発達したが、奥歯は植物などをすりつぶし消化しやすくする臼歯になっているという。もともとは肉食だったヒグマだが狩りが苦手で、簡単に大量に手に入る植物を食べやすくするため臼歯が進化していったと言われている。本州に生息するツキノワグマも同様の進化を遂げている。しかし近年シカの個体数が増加し、クマの肉食化を助長している可能性が指摘されている。シカが増加した理由は、温暖化で積雪量が減り餓死するシカが減ったと考えられている。北海道苫前町に伝わる「くま獅子舞」は、110年前に起きた「三毛別ヒグマ事件」を語りつぐために始まった。1915年12月、北海道に入植した開拓民の集落を巨大グマが襲撃し、7人が死亡した日本史上最悪の熊害事件。現在事件現場付近は、当時の被害状況が再現された観光スポットとなっている。過去において、クマと人間の不幸な遭遇は繰り返されてきた。東京農業大学の山崎晃司教授は、人とクマの境界線の変化が事件の背景にあると分析する。いくつかの事件を紐解いていくと、その背景が見えてきた。
1923年に開拓地で発生した、石狩沼田幌新事件。クマに襲撃され家族を失いつつも生き延びた、被害者の肉声が残っている。事件が起こった当時、村田與四郎さんは15歳。目の前で家族を失った恐怖を伝えようと録音していた。北海道で昭和初期まで続いたクマ被害は、人の生活圏が広がる中で起きた不幸な接触だったとも言える。人との衝突を経てクマは山奥へと追いやられ、新たな境界線が生まれた。しかしその境界線にも踏み込む「レジャー」という人の行動圏の拡大が、新たな不幸な事件を生んだ。1970年、北海道日高山脈で学生3人が死亡した福岡大学ワンダーフォーゲル同好会ヒグマ事件。当時19歳だった学生の興梠盛男さんが、亡くなる寸前まで記した実際のメモが残っている。ヒグマに襲撃され仲間とはぐれた盛男さんは、3日間にわたりヒグマの執拗な追撃を受けた。恐怖からか、最後のページは判読不明な文字が書き殴られていた。亡くなった3人を襲ったのは、体長約2mのメスのヒグマだった。過去には山岳地帯などレジャーで偶発的にクマと遭遇し事件となっていたが、近年はその被害が人の生活圏へと移りつつある傾向がある。東京農業大学の山崎晃司教授は「背景にはクマが人里・集落付近に進出していることがある」などと指摘した。2091年から66頭の牛を襲い北海道を震撼させたヒグマは、現場の地名と足の幅から「OSO18」と名付けられた。当時多くのハンターが追跡したが、別のクマとして駆除されていたことが後に判明した。今年、住宅街で人を執拗に狙ったかのようなクマ被害が発生した。北海道福島町で新聞配達をしていた男性が襲われ死亡したが、駆除されたクマはDNA鑑定の結果以前にも人を襲っていたことが判明した。
クマに出会ってしまった時の対処法をタモリが取材。のぼりべつクマ牧場は複数の大学と共同でヒグマの研究を行うなど学びの場でもある。ここで酪農学園大学講師の伊藤哲治監修のもと、人のにおいがついたマネキンを使って検証。遭遇時に背を向けて逃げるとクマはどのような反応をするのか調べる。
クマに出会ってしまった時の対処法をタモリが取材。人のにおいがついたマネキンを使って遭遇時に背を向けて逃げるとクマはどのような反応をするのか検証。マネキンに近づいてきた。
クマに遭遇した時に死んだふりをする検証を行うとクマは頭を狙った。伊藤哲治さんは「腐ったものも食べるので死んだふりをしたら死体で食べるものだと認識されてるかもしれない。」などと話した。今年のクマ出没件数が76件報告されている栃木県那須塩原市に住む君島さんは今年6月、近所の農道で親子グマに襲われた。杖を振り回したことによってクマは立ち去ったという。過去最多ペースでクマが出没する新潟県阿賀町に住む女性は、今年9月クマに襲われ大怪我を負った。命を救ったのは普段から護身用に持っていた傘だった。佐藤教授によるとクマとの距離によって対処法が変わるという。数10m離れていれば様子を見ながらゆっくり離れる。10m以内の場合はクマ撃退スプレーを吹きかける。スプレーがない場合は、防御姿勢を取ることが重要。襲われた際は頭の後ろで手を組み顔と頸動脈を守り、ひっくり返されないよう足を開く。
世界のクマの危険度ランキングを紹介。8位はジャイアントパンダ、7位はアンデスグマ、6位はマレーグマ、5位はアメリカクロクマ、4位はツキノワグマ、3位はナマケグマ、2位はヒグマ、1位はホッキョクグマ。
9月1日から、ヒグマやツキノワグマなどが緊急銃猟の対象となった。緊急銃猟は、自治体の判断で発砲が可能となる。仙台市で、日本初の緊急銃猟による発砲が行われた。
