2023年9月18日放送 13:05 - 14:05 NHK総合

ニュースなるほどゼミ
処理水放出 私たちはどう考える?

出演者
片山千恵子 
(オープニング)
どう考える?処理水放出 ゲストと解説委員が徹底討論

先月24日から福島第一原発にたまる処理水の海洋放出が行われた。放射性物質トリチウムなどを含む処理水を大量の海水で薄めて放出している。地元では複雑な思いがある一方、中国は日本産の水産物の輸入を全面的に停止。今後30年続くと見込まれる処理水の放出。福島、日本のこれからをどう考えていけばいいのか。

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トリチウム東京電力福島第一原子力発電所
オープニング

オープニング映像。

処理水放出 私たちはどう考える?
どう考える?処理水放出 ゲストと解説委員が徹底討論

今回のテーマは「処理水放出 私たちはどう考える?」。羽田美智子は「いろいろな情報が錯綜していて、どの情報を信じればいいんだろうと不安になった」と話した。

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福島第一原子力発電所
なぜ今 処理水放出?そもそもトリチウムとは?

なぜ今処理水を放出するのか。水野解説委員は汚染水の放射性物質をALPSで除去しているが、トリチウムは基準以下にできないため処理水としてタンクにため続けていたが、これ以上タンクを作れないため国の基準の40分の1未満に薄めたうえで海洋放出をしようとなったと解説した。政府や東電が処理水を安全としている科学的根拠については、トリチウムは雨水などにも含まれ、放射線のエネルギーが弱いなどとした。佐藤解説委員は、政府は水の状態のトリチウムは体内にはたまらず排出されるので体内の濃度と海水の濃度は変わらないと説明しているとした。

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ALPSALPS処理水トリチウム東京電力福島県福島第一原子力発電所
中国の水産物輸入停止 影響は各地に拡大

処理水放出を受けて水産物の輸出にも大きな影響が出ている。佐藤解説委員は2022年の水産輸出先は中国が22.5%と最も多く、割合は安定的に生産する技術が確立していて地域を支えているホタテ貝が半数以上で、地域的な影響が大きいと解説した。

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サンマホタテ貝財務省
処理水放出 福島の人たちの思いは?

先月24日、東京電力は処理水の放出を始めた。地元・福島の人たちからは「仕方ない」、「やっぱり反対。別の方法があればと思う」などの声が聞かれた。相馬市の松川浦漁港では、中国の輸入停止の影響もありナマコがやや値を下げた他は去年と比べて値段に大きな差はなかった。処理水放出は1回目が終わり、これまでに検出された海水のトリチウム濃度は最大10ベクレル/1Lで放出停止を判断するレベルを大幅に下回っている。福島の沿岸漁業は約10年続いた試験操業から本格操業に向けて歩み始めた段階だが、水揚げ量は震災前の2割程度。処理水放出は30年続くと見込まれていて影響がどう出るか漁業者の懸念はさらに続くことになる。

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トリチウムナマコ東京電力松川浦漁港浪江町(福島)相馬市(福島)福島第一原子力発電所

処理水放出について、水野解説委員は5つの方法が検討され放出後のモニタリングのこともあり海洋放出になったと解説した。福島では国の基準よりも厳しい基準を福島県漁連が設定して検査しているという。宇治原は「科学とかと関係なく、福島の海に流さないといけないのかというのが地元の方の気持ちとしてはあるのでは」と話した。

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福島県漁業協同組合連合会
処理水放出 福島局記者が伝える地元の声

NHK福島局の高野記者は、いわき市の市場で取材したところ普段どおり活気づいており、卸売業者も「今のところ風評の影響を感じておらず全国各地から応援の声が届いている」と話していたとしたが、漁業者は安心している状況ではなく風評被害にあった経験から戻ってしまわないか不安に思っている人が多いとした。水野記者は、政府の風評被害への対策について紹介した。高野記者は、多くの漁業者はお金のことだけではなく、自分の子や孫に福島県の漁業を残していけるのかを不安に思っているなどと話した。

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いわき市(福島)中央卸売市場
処理水放出 漁業を支える新たな取り組み

豊洲市場では福島・宮城・岩手でとれた水産物を一般客に販売する店舗が設けられている。仲卸業者の組合が今年の7月に始め、来年2月まで月2回営業する。仲卸業者は福島産水産物の取引に大きな変化は感じていないという。

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ヒラメ宮城県岩手県東京都東京魚市場卸協同組合江東区(東京)福島県豊洲市場

みやぎ生協・コープふくしまでは地元産の水産物を優先して仕入れ、販売している。会合で正確な情報を共有し、処理水に関する想定問答集も配布。河野副理事長は「大丈夫なんだと実感していただくことが一番大事」とした。今後は独自にトリチウム濃度も検査することで政府や東京電力の発表データを検証する考えだという。

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みやぎ生活協同組合仙台市(宮城)東京電力水産庁 ホームページ

福島では温暖化の影響もあってかこの3年でトラフグの水揚げ量が10倍以上に急増、新たな特産品として注目を集めている。相馬市の割烹料理店の店主・鈴木さんはこのチャンスを活かし、福島の漁業を後押しして地元を盛り上げていきたいと考えているという。市の観光協会も全国にPRしようと福島で水揚げされるトラフグを“福とら”と名付けブランド化を目指しているという。

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トラフグ下関市(山口)相馬市(福島)
処理水放出 漁業を支える新たな取り組み/なぜ風評被害が起こるのか?私たちができること

風評被害が起こる原因について佐藤解説委員が解説。1つは代わりのものがあること、2つめは情報がハッキリしないこと、3つめは情報格差があることが原因だとした。羽田美智子は「消費者自体が賢くなる必要がある。知らないで怖がるのがいちばんだめな原因」と話した。

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フグ埼玉大学有賀健高
処理水放出までのプロセスはどうだったのか?

処理水放出については、2015年に国と東京電力が福島県漁連に対し「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と約束している。しかし、有識者や専門家をまじえて処分方法を検討する国の小委員会に漁業者は入っていなかった。そして2021年に政府は処理水の海洋放出の方針を決定。その後、漁業者などに1500回以上の説明会を行ったという。

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東京電力福島県漁業協同組合連合会

処理水放出までのプロセスについて、佐藤解説委員は「結論を先に決めて一方通行の説明を大量にして、先に外堀を埋められた感じになり、納得できない気持ちが残る原因になった」と話した。高野記者は「地元漁業者も福島県の方々も“関心を持ち続けてほしい”という気持ちが強い。皆さんに考えてほしい」と最後に伝えた。

処理水は廃炉の“入り口” 私たちはどう考える?

処理水放出が始まったばかりの福島第一原発だが、格納容器に核燃料が溶け落ちた大量の燃料デブリが残されたままで本格的な取り出しのめどは立っていない。それでも国と東京電力は廃炉は最長40年で完了させる計画を変えていない。

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東京電力福島第一原子力発電所

廃炉の最難関となっているのが燃料デブリの取り出し。政府・東電は最長40年というゴールは変えていないが、海外の事故をみるとそう簡単に廃炉は進まないと水野解説委員は話した。日本で廃炉が決まった原発は24基あるが1基も完了していない。宇治原は「原発事故や処理水のことはタブー視されしゃべりにくかった。もっとしゃべらないと決められない」とし、羽田美智子は「深読みする癖もできている気がする。信頼関係を強く持ちたい」と話した。

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いわき市(福島)チェルノブイリ原子力発電所東京電力東海発電所福島第一原子力発電所茨城県
(エンディング)
解説委員室HP

解説委員室HPを告知した。

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NHK解説委員室ホームページ
処理水放出 私たちはどう考える?

羽田美智子は「消費者も賢くなって協力する姿勢に変わった」、宇治原は「風評被害を起こさないためには一人ひとりがどう行動したらいいかというだけの話。報道が非常に重要な役割を果たしているので、その一翼を担っている意識も持ってやっていきたい」などと番組を振り返った。

(番組宣伝)
ドキュメント記者会見 

ドキュメント記者会見の番組宣伝。

解体キングダム

「解体キングダム」の番組宣伝。

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