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パリオリンピックでは32競技、329種目が行われた。最大の特徴は歴史ある建築物を活用し、街中も競技会場としたこと。1900年、パリ万博のために作られた展示会場「グランパレ」ではフェンシングが行われた。加納虹輝はフェンシングで初めて個人種目で金メダルを獲得した。コーチはウクライナ人のオレクサンドル・ゴルバチュク。加納は小柄な1m73cm。最大の武器はスピードだったがスピードだけでは勝てないと相手を誘い込む戦い方を練習した。エペ決勝の相手は1m96cm、地元フランスのエース、ヤニック・ボレル。エペ決勝を振り返った。フェンシングで大切なのはコーチだという。他の種目でも外国人コーチが日本選手を支えた。男子フルーレのエルワン・ルペシューは元フランス代表の金メダリスト。ルペシューは日本人選手に自身を植え付けた。こうして男子フルーレ団体では金メダルを獲得。女子フルーレ団体を銅メダルに導いたのはフランク・ボアダン。日本は過去最多の5つのメダルを獲得した。
パリオリンピックで行われたビーチバレーや馬術、テニス、サーフィン、スケボーなどの名シーンを紹介した。コンコルド広場ではスケートボードが行われ、日本は10代の選手が躍動した。
パリの地を一際盛り上げたのが柔道。世界有数の柔道人口を誇る国で、日本はプライドをかけて戦った。角田夏実は48キロ級で金メダルを獲得。永瀬貴規は81キロ級で金メダルを獲得し2連覇。舟久保遥香は57キロ級で銅メダル。橋本壮市は73キロ級で銅メダル。村尾三四郎は90キロ級で金メダル。阿部一二三と詩兄妹は3年越しの夢に挑んだ。兄妹で2連覇を目指していたが2回戦で詩は負けてしまった。阿部一二三は金メダルを獲得した。詩は「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない。必ずリベンジしたい」などと話した。
歓声を浴びるのは、奇跡の大逆転を演じた5人。体操男子団体は仲間を信じて金メダルを掴んだ。3年前の東京大会。わずか0.103で金メダルを逃した。雪辱を果たすと誓い合った5人は、互いの技術を教え合い高め合ってきた。そして迎えたパリ大会決勝。予選では中国に次ぐ2位だった日本。全員高得点を得たが、2種目目のあん馬で橋本大輝が落下。最大のライバル・中国はミスのない演技を披露したが、最終種目の鉄棒で中国は2選手が落下。日本は2大会ぶりの金メダルを獲得。2日後の個人総合では20歳の岡慎之助が金メダルを獲得。岡は個人種目別鉄棒でも金メダル、平行棒で銅メダルを獲得し4つのメダルを獲得した。
4年に一度開かれるオリンピック。この夢の舞台でかつての強さを取り戻そうともがいた選手がいた。競泳の池江璃花子選手は白血病を乗り越え、8年ぶりに個人種目に出場した。大会の9ヵ月前、池江選手は練習拠点をオーストラリアに移していた。自らの可能性を信じ、ハードなトレーニングで追い込んだ。そして池江選手は競泳女子100mバタフライの準決勝で6位。目標の決勝に進めなかった。池江選手は「人って悔しさを経験しないと成長できないので今はそう思うしかない。4年後リベンジに戻ってきたい」などと話した。そんな池江選手にライバルのルイース・ハンソン選手は「あなたがここに戻ってきたことは多くの人に勇気を与えた」と声をかけた。
陸上男子100m決勝でノア・ライルズ選手が1000分の5秒差で金メダル。バスケットボール男子は米国が5連覇。レスリング男子ではミハイン・ロペスヌニェス選手が個人種目で史上初の5連覇。伝説のまま引退した。競泳男子はレオン・マルシャン選手が五輪新記録の4冠を達成。柔道男子はテディ・リネール選手が最重量級で3個目の金メダルを獲得。体操女子は前大会でメンタルの問題を訴えたシモーネ・バイルズ選手が復活の金メダル。男子棒高跳びではアルマンド・デュプランティス選手が9回目の世界新記録達成。
平和を願う祭典・五輪。その7日目から国連はあらゆる紛争の休戦を呼び掛けた。しかし戦火は絶えない。ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ。日常が失われる中、選手達はパリを目指した。アーティスティックスイミング代表、双子のアレクシーワ姉妹は、激しい戦闘が続くハルキウの出身。2人が練習していたプールも攻撃の影響を受けた。防空警報で練習を中断し、シェルターで身体を動かすだけの時間が続いた。停電も頻繁に起きるため、冬場はウェットスーツを着ての練習。5kg程の重さは身体に負担が掛かった。迎えた五輪。デュエットの成績は5位。初めてメダルをもたらしたのはフェンシング女子サーブル個人でオリハハルラン(銅)。戦火で亡くなった人や祖国を守る人の為に戦った。個人戦に続き団体戦の決勝では韓国と対戦し金メダルを獲得。
ガザ地区で戦闘の犠牲者が増え続けるパレスチナ。今回8人の選手が出場した。ボクシング男子57kg級・ワシム・アブサルは9分間パンチを出し続け、会場には「ワシム」コールが響いた。
柔道混合団体、卓球女子団体は2大会連続銀メダル。バドミントン女子ダブルス・志田千陽/松山奈未は初出場で銅メダル。セーリング混合470級・岡田奎樹/吉岡美帆は銀メダル。卓球女子シングルス・早田ひなは石田大輔コーチと二人三脚で銅メダル。スケートボード女子パークでは開心那が銀メダル。
今大会唯一新競技として実施されたブレイキン。ヒップホップの“レジェンド”スヌープドッグが開始の合図を告げた。5つの審査基準は技術、独創性、表現、音楽性、出来映え。メダルの獲得が期待された日本のエース・Shigekix(半井重幸)は準決勝でフィルウィザードに敗れた。Shigekixはメダルに届かなかった。すばらしい仲間たちと最終決戦ができたことをうれしく思っているとコメントした。女子ではAMI(湯浅亜実)が決勝に進み金メダルを勝ち取った。
日本のお家芸の一つ・レスリング。今回も快進撃を見せた。男子グレコローマンスタイル60kg級では文田健一郎、77kg級では日下尚、フリースタイル57kg級では樋口黎、65kg級では清岡幸太郎が金メダル、男子フリースタイル74kg級では高谷大地が銀メダルを獲得。女子は史上初めて6階級全てでメダルを獲得。女子57kg級では櫻井つぐみ、62kg級では元木咲良、53kg級では藤波朱理、76kg級では鏡優翔が金メダル、女子68kg級では尾崎野乃香、女子50kg級では須崎優衣が銅メダルを獲得。藤浪と鏡は無二の親友。2人で一緒に金メダルを獲ると約束した。藤浪が最初に約束を果たした。2日後、鏡は準決勝に臨み、客席には藤浪の姿が。決勝で米国の選手と対戦し金メダルを獲得。
初のメダル獲得の瞬間。男子高飛込の17歳・玉井陸斗は銀メダル。競泳男子400m個人メドレーで初出場の18歳・松下知之は銀メダル。ゴルフ男子・松山英樹は銅メダル。スポーツクライミング男子ボルダー&リード・安楽宙斗は銀メダル。近代五種男子・佐藤大宗は銀メダル。ひとつの種目で失敗しても次の種目で諦めなければ花が咲く最高の競技だと佐藤選手は語った。
陸上の女子フィールド種目で日本初の金メダルを目指す選手がいた。やり投・北口榛花は強い決意で臨んでいた。世界の頂点を目指す為、5年前に単身で渡ったのが、やり投げ大国のチェコだった。指導を仰いだのはコーチのダヴィッド・セケラック。日本で殆どしていなかったウェイトトレーニングを取り入れ、身体を一から作り直した。記録を伸ばすため足腰を徹底的に強化した。セケラックと二人三脚でこの舞台を目指してきた。1投目で65m80cmと今シーズンの自己ベストを更新。北口は金メダルを獲得。
世界に魔法をかけた祭典は終わりのときを迎えた。夢は4年後の大会へと引き継がれる。
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