カリフォルニア州ロサンゼルス ロサンゼルス市警に勤務する交通課のビル（32歳）はアメリカ海軍に所属していた。ビルは人と争うことが苦手で検挙数も少なく、「マイルド・ビル」と揶揄する同僚も少なくなかった。ビルは船舶免許を持っており、船を管理する仕事を手伝っていた。クルーザーと無人島を購入してリゾート開発をするのが夢だった。ある日、ビルは検事ナンシーと出会い、2年後に結婚。大きな一軒家を購入した。また、ナンシーの資金援助で大型クルーザーを手に入れた。

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ロサンゼルス（アメリカ）

結婚から数年後、ビルは乗っていた車が故障したというテリーと出会った。ビルの友人のアートは保険会社社長で、不動産業や観光業も手掛けるやり手のビジネスマン。ビルとアートは互いの妻を伴って、定期的に食事会を開いていた。

ビルは公務で知り合ったテリーの電話番号に連絡して、テリーをデートに誘った。その後、ビルはテリーと禁断の関係を結んだ。ビルは、銀行強盗の前科のある友人ロバートと親しくしており、信頼を寄せていた。ビルはナンシーに内緒で怪しげな金儲けに手を出そうとしていた。

ビルは妻がいることを隠し続け、テリーとの関係を続けていた。一方、妻ナンシーには嘘をつく日々を送っていた。ある日、テリーが妊娠し、ビルはプロポーズした。

ある日、アートの妻アンの店が強盗に襲われ、アンが射殺された。警察は強盗殺人事件として捜査を開始。事件を担当した捜査官のニールとネルソンは不可解な点に気づいた。犯人は他の従業員には目もくれず、店の奥にいたアンの所へ向かった。後の捜査で凶器は45口径リボルバーだと判明。犯人はアンを射殺し7ドルを奪って逃走。アン殺害事件の3つの謎は「なぜアンの美容サロンを狙った？」「なぜアンを狙った？」「なぜ開店直後を狙った？」。

警察はアン殺害犯の行方を追い、アンの周辺人物を捜査。アンの姉ニコレッタによると、アンは夫アートの過剰な束縛に怯え、夫婦仲は崩壊寸前だったという。一方、アートはビルとナンシーに身の潔白を訴えた。

ジュディと名乗る女性が警察署を訪れ、夫チャールズが犯人だと訴えた。ジュディによると事件当日、チャールズは麻薬により正常な精神状態ではないまま帰宅。美容師を撃ってしまったと呟いたという。警察はチャールズを任意聴取するが「何も覚えていない」としか答えなかった。警察はチャールズを拘束して取り調べを続けた。一方、捜査官らはチャールズ犯人説に疑念を抱いていた。その後、チャールズはシロだと判明する。

ある日、ビルがロバートと談笑していたところ、ロサンゼルス市警の捜査官たちが現れ、ビルとロバートはクルーザーを4隻盗んだ窃盗容疑で逮捕された。ロバートは目を付けた高級クルーザーを窃盗し、ビルは見張り役だったという。取り調べでロバートは罪を認めたが、ビルは否認し続けた。

デニスはアン殺害に関与したことを告白。減刑を条件に情報提供した。アンを殺害したのはデニスという。凶器が45口径の拳銃であることはメディアに公開されておらず犯人しか知り得ない情報だった。アン殺害の黒幕はビルだった。ロサンゼルス市警はビル逮捕への作戦を実行。作戦は「デニスがビルの面会に行き拳銃の在処を話させる」「ビルが来る前に面会室に数台のカメラを設置」というもの。作戦の結果、ビルは「凶器の拳銃は溶かした」とメモに記し、拳銃の存在を認めた。後日、ビルが悪事によって得た金の流れが詳細に記載された明細書のコピーが送られてきた。

事件の真相を紹介。ビルは妻ナンシーの資金でクルーザーを購入。大金持ちの実業家アートをパートナーに、リゾート開発を成功させたいと願った。しかし、警察官の稼ぎだけでは夢の実現は不可能だった。そこでビルは悪事に手を染め、ロバートと組んで高級クルーザーの窃盗を始めた。そんな中、アンがアートとの離婚を決意。莫大な慰謝料を請求されると、リゾート開発のパートナーであるアートが資産を失う。ビルはアン殺害計画を立て、デニスと接触。事件当日、デニスはビルが調達した45口径の拳銃を使い、強盗にみせかけてアンを殺害し、ビルの運転する車で逃走。また、捜査の手がアートに及びそうになると知り合いのジュディを買収し、麻薬中毒のチャールズを犯人に仕立て、警察の追及をアートから遠ざけた。

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ビルは浮気相手テリーに対して、結婚も赤ん坊も諦めろと非常な仕打ちを行った。新聞でクルーザーの窃盗事件を知ったテリーは、ビルが置いていった書類を確認。そこには悪事の報酬が記載された明細書のコピーがあった。テリーは明細書を警察に送った。その後の調査で、アートがアンの殺人に関与していたことが判明。アートは殺人共謀の容疑で逮捕された。なお、デニスは証言と引き換えに起訴を免除。アートは第一級殺人で有罪で終身刑の、ビルは第二級殺人で有罪となり15年以上の禁錮刑又は終身刑の判決が下された。

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