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今回紹介する世界遺産は「メノルカ島のタラヨティック文化の先史時代遺跡」。
スペイン本土から沖合に200キロほど、メノルカ島には1500を超える遺跡がある。9つのエリアが世界遺産。大きな山はなくとても平坦、淡路島を少し上回る広さの島だ。海辺はヨーロッパでも人気のリゾート。遺跡のほとんどは内陸部にあり、3600年ほど前から石積の建造物が作られ始めた。太古の人々は高度な石積の技術を持っていた。「タウラ」と呼ばれる垂直の石の上に10トン近い石が乗っているものもある。
今に400近くあるタラヨットの塔は3200年ほど前から作られ始めたもの。ここから約1100年続く文化を少々して「タラヨティック文化」と呼ぶ。島には文字による記録が残っていないため、これまで何のために作られたのかよくわかっていなかった。塔の役割を解明しようと研究者が注目しているのがクルニア・ノウ遺跡。南向きに階段が作られ、上に人が立つことができるスペースが有る。2007年からの発掘によって当時の社会の様子がわかってきた。塔には一部の選ばれた人だけが登ることがえき、階級が存在したのかもしれない。火をおこした跡からは家畜の骨が発掘された。さらに焼き物のコップも見つかった。コップには大麦の成分が残っていて、ビールを飲んでいたと考えられている。塔を中心とした集落が濃厚や牧畜を行い、食料を分け合って生活していたと考えられる。実際に集落の遺跡も見つかっている。
海辺にある墓所の遺跡には副葬品の中に島の外から来た品々が混じっていた。タラヨティック文化の終わりごろ、メノルカ島と他の地域とを結びつける人々が現れた。地中海交易を担っていたフェニキア人だ。彼らがメノルカ島にもたらした品々の一部は傭兵になったことへの報酬だと考えられている。当時、フェニキア人は古代ローマと争っていたため、多くの兵士を必要としていた。そこで雇ったのがメノルカ島を含むバレアレス諸島の人々だった。その時の武器がメノルカ島のあちらこちらで発見されている。バレアレスとは石投げの達人という意味。
メノルカ島にあるT字の巨石「タウラ」。今で発見されたタウラ囲いは32か所、ほとんどが馬の蹄の形だ。壁の内部は聖なる儀式の場だったと考えられている。タウラ囲いには火を焚いた跡があり、動物の骨が大量に見つかっている。生贄の儀式がここで行われたと考えられる。タウラが神をかたどったシンボルなのではないかと考える研究者もいる。タウラを囲む柱には祭壇と見られる台があり、その下で雄牛の銅像が見つかった。雄牛は当時の地中海一帯で神として崇められていた。タウラがT字なのは島の外から伝わった雄牛信仰の現れだというのが有力な仮説の一つだ。巨石は石灰岩から切り出されている。島の半分近くが石灰岩の大地だ。実際、1500か所の遺跡の多くが島の半分の石灰岩の地域に集中している。
メノルカ島のタラヨティック文化で一際目を引くタウラ。10トン近い石は掘った溝に添わせて垂直に立て、次に土で斜面を作って横棒の石を引き上げたというのが定説。タウラ囲いでは雄牛以外にも人の姿をした像が見つかっている。古代エジプトの文字が刻まれている。人物の正体はエジプト最古のピラミッドを設計したイムホテプ。この像をもたらしたのもフェニキア人と言われている。像が発見された囲いにのタウラは横棒の石が落ちてしまっている。
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